月の裏側はなぜ見えない?自転しているのに同じ面を向ける理由

クレーターの多い月面を宇宙から見た概念イメージ

アイキャッチ画像は記事の内容を表現したAI生成イメージで、正確な形状や尺度を示す図ではありません。

満月でも半月でも、月には見慣れた模様があります。「月も回転しているなら、いつか裏側が見えるのでは?」と思ったことはありませんか。

先に答え:自転と公転の周期がそろっているから

月が自転する時間と、地球の周りを一周する時間は、どちらも約27.3日。月は回転しながら、ほぼ同じ面を地球に向け続けています。

「自転していないから見えない」という説明は正しくありません。まずは、椅子を使った簡単な方法で確かめてみましょう。

月の裏側が見えない理由は「自転と公転の周期が同じ」だから

月には、二つの動きがあります。

動き 意味 月の場合
自転 自分自身の軸の周りで回ること 約27.3日で一回転
公転 別の天体の周りを回ること 約27.3日で地球を一周

この二つがそろっているため、月は地球の周りを移動しながら、地球に向ける面を保っています。この状態を「同期回転」と呼びます。

難しい名前を覚える必要はありません。一周する間に、向きも一回転すると考えると理解しやすくなります。

椅子を使うと、月が回転していることが分かる

部屋の中央に椅子を置き、椅子を地球、自分を月に見立てます。

  1. 椅子の方を向いて立つ。
  2. 顔を椅子に向けたまま、その周りを一周する。
  3. 一周する途中で、自分が部屋のどちらを向いているか確かめる。

椅子から見れば、あなたはずっと顔を向けています。しかし、部屋の壁を基準にすると、あなたの向きは一周の間に一回転しています。

月にも同じことが起きています。地球に同じ面を見せ続けるには、月自身も向きを変え続ける必要があるのです。

反対に、顔をずっと同じ壁に向けたまま椅子の周りを一周すると、椅子からはあなたの顔、横顔、背中が順番に見えます。これは「自転せずに公転した場合」のイメージです。

自転と公転がそろったのは偶然?

月が地球に同じ面を向ける状態は、単なる偶然の一致として説明されているわけではありません。

地球の重力は、月の手前側と奥側に同じ強さで働くわけではありません。この差によって月は変形し、自転の仕方に影響を受けてきました。

長い時間をかけて回転のエネルギーが失われ、自転と公転がそろう状態になったと考えられています。これを「潮汐固定」といいます。

「潮汐」という言葉から海を想像するかもしれませんが、ここで重要なのは重力による力の差です。月に地球のような海がなくても、固体の天体にこの作用は働きます。

ここだけ押さえれば大丈夫

地球の重力が長い時間をかけて月の回り方に影響し、今の状態になった、と考えましょう。

月の裏側は、いつも真っ暗なの?

いいえ。月の裏側にも太陽の光が当たり、昼と夜があります。「裏側」は、地球から見た位置を表す言葉です。「太陽の光が当たらない側」という意味ではありません。

言葉 何を基準にしている? 意味
月の表側 地球 地球に向いている側
月の裏側 地球 地球と反対を向いている側
月の昼側 太陽 太陽の光が当たっている側
月の夜側 太陽 太陽の光が当たっていない側

満月のころは、地球に向いた表側が広く照らされています。一方、新月のころは表側が暗く、裏側が広く照らされています。

地球から見えないことと、太陽から照らされないことは別です。

なお、月の極付近には、地形のため長期間日光が届かない場所があります。しかし、それは「裏側全体が暗い」という話とは異なります。

満ち欠けで、月の裏側が見えているわけではない

三日月から半月、満月へと形が変わると、月が回って別の面を見せているように感じるかもしれません。

実際には、地球から見える面はほぼ同じです。その面のうち、太陽に照らされた部分がどれだけ見えるかが変化しています。

半月の暗い半分も、その場所に月の表面が存在しないわけではありません。太陽の光が直接当たらず、見えにくくなっているだけです。

また、月が欠けるのは通常、地球の影がかかるからではありません。地球の影に月が入る現象は「月食」で、日常的な満ち欠けとは区別します。

約27.3日なのに、満月から次の満月までは約29.5日?

月が地球を一周する間に、地球も太陽の周りを進んでいます。そのため、月が一周した時点では、太陽・地球・月の位置関係が完全には元に戻りません。同じ満ち欠けになるまで、月はもう少し進む必要があります。

自転・公転の約27.3日と、満ち欠けの約29.5日は、何を基準に一周を数えるかが違うのです。

地球からは、月の半分しか絶対に見えない?

「いつも同じ面」と説明しましたが、厳密には見える範囲が少し変わります。月の軌道の形や傾きなどの影響で、地球からは月がわずかに首を振るように見えます。この見かけの動きを「秤動(ひょうどう)」と呼びます。

そのため、時期を変えて観察すると、ふちの部分が少し余分に見えることがあります。

ただし、裏側の中央まで見えるわけではありません。「強い望遠鏡なら裏側全体が見える」ということもありません。望遠鏡は見えている場所を詳しくする道具で、月そのものに隠された場所を透かして見る道具ではないからです。

月の裏側には何があるの?

探査機の観測によって、裏側にもクレーターや山地があることが分かっています。表側と裏側で目立つ違いの一つは、黒っぽく見える「海」の広がりです。

月の海は水の海ではなく、昔の溶岩でできた比較的平らな地形を指します。表側には大きな海がいくつもありますが、裏側ではその広がりが小さく、クレーターの多い地形が目立ちます。

つまり、裏側は表側の模様をそのままコピーした場所ではありません。同じ月でも、地球に向いた側と反対側では景色が違うのです。

月の裏側についてよくある質問

地球の反対側の国へ行けば見える?

いいえ。海外へ行っても、月の裏側の中央を見ることはできません。地球上の移動は、月の反対側へ回り込むこととは違います。地域によって月の模様の向きは変わって見えますが、それも裏側を見ているという意味ではありません。

月の裏側の写真は、どうやって撮るの?

探査機などを地球から見えない側へ回り込ませ、そこから撮影します。日本の月周回衛星「かぐや」も、月の表側だけでなく裏側を観測しました。

裏側から地球は見える?

裏側の中央付近からは、通常、地球は見えません。地球の方向を月そのものが遮っているためです。表側と裏側の境界付近では条件が複雑になるので、「月のどこでも必ず同じ」とは考えないようにしましょう。

月を見たら、形と模様を分けて観察してみよう

次に月を見るときは、明るい部分の形だけでなく、黒い模様にも注目してみてください。日が変わって月の形が変化しても、見慣れた模様が残っていることに気づけます。自転と公転の説明が、実際の夜空と結びつくはずです。

月の見え方については、月が大きく見える理由と確かめ方もあわせてご覧ください。

参考資料

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