ピンクレイクはなぜピンク色?微生物と塩分の仕組み・ヒリアー湖の変化

白い塩の岸と緑の低木に囲まれた、ピンク色の塩湖のイメージ

青い海のすぐそばに、いちごミルクのようなピンク色の湖。写真の加工に見えるかもしれませんが、自然にピンク色になる湖は実在します。こうした湖はピンクレイクと呼ばれ、オーストラリアなどで知られています。

では、なぜ水がピンクになるのでしょうか。鍵は、塩分の多い環境で暮らす小さな生き物です。ただし、すべての湖を一種類の藻だけで説明できるわけでも、いつでも同じ色に見えるわけでもありません。

先に答え:ピンクレイクの色には、塩分の高い水で暮らす藻類や細菌などがつくる色素が関わります。生物の種類と量、塩分、水位、日差し、降雨などで見え方が変わり、有名な湖でもピンク色を失うことがあります。

ピンクレイクとは?一つの湖の名前ではない

「ピンクレイク」は、ピンク色に見える湖を広く指す表現として使われます。一方で、オーストラリアには固有名として Pink Lake と呼ばれる湖もあります。

特に混同しやすいのが、西オーストラリアのエスペランス周辺にあるヒリアー湖(Lake Hillier)とピンク湖(Pink Lake/Lake Spencer)です。どちらもピンクの湖として知られていますが、同じ湖ではありません。旅行情報や写真を見る際は、一般的な呼び名か、特定の湖の名前かを確認しましょう。[1]

なぜピンク色になる?微生物の色素が関わる

塩分の高い湖にも生き物がいる

水が蒸発すると、溶けている塩分が濃くなります。強い塩分は多くの生物には厳しい条件ですが、その環境に適応した藻類や細菌、古細菌などには暮らせる場所になります。

ビクトリア州の公園管理機関 Parks Victoria は、州内のピンクの湖について、塩分の高い環境に適応した単細胞の藻が、条件に応じてピンクや赤のカロテノイド色素をつくり、湖の色に関わると説明しています。[2]

「ドナリエラだけが原因」とは言い切れない

ピンクレイクの説明によく登場するのが、ドナリエラ属の藻類です。しかし、湖には色素をつくる別の微生物もいます。

ヒリアー湖の試料を遺伝子の情報などから調べた2022年の研究では、ドナリエラ、サリニバクターなど、複数の色素産生に関わる微生物が報告されました。研究は、湖の色を一種類の生物だけではなく、複数の微生物が暮らす生態系として理解する手がかりになっています。これは採取された試料の研究であり、現在の湖の色を毎日測定したものではありません。[3]

「塩そのものがピンクだから」「海が夕焼けを映しているだけ」という説明では、こうした微生物の働きを捉えられません。塩分は生物の暮らす条件を変え、色素は水の見える色に関わる、と分けて考えると理解しやすいでしょう。

いつもピンク?色が変わる条件

関係する条件 見え方への影響
塩分・水位 蒸発や水の流入で、生物が暮らす環境が変わる
微生物の種類と量 色素をつくる生物の構成が、色の違いにつながる
日差し・気温・降雨 生物の活動や水の状態に影響する
見る角度と光 地上と上空、晴天と曇天で印象が変わる

濃いピンク、淡い桃色、白っぽい色など、湖の姿は一定ではありません。写真の撮影日が違えば、生態系や水の状態自体が変わっている可能性もあります。自分の見た色が過去の写真と違っても、すぐに加工写真だったと決めつけることはできません。

ヒリアー湖がピンクではなくなった?

「ヒリアー湖は一年中ずっと鮮やかなピンク」とする古い紹介には注意が必要です。西オーストラリア州政府観光局が2026年4月に改訂した案内では、2022年の大きな降雨で塩分が薄まり、ヒリアー湖は鮮やかなピンク色を失ったと説明されています。色が戻る時期は予測できないとしています。[1]

同じ案内では、別の湖であるピンク湖(Lake Spencer)も、塩分や水の流れの変化により、長年以前のようなピンク色を示していないとされています。

写真を見るときの確認点:湖の名前、撮影日、撮影位置の3つを見ましょう。「ピンクレイク」という見出しだけでは、どの湖の、いつの姿なのか分かりません。

青い湖や白い塩湖とは何が違う?

湖の色は、水そのものが光を吸収する働きだけでなく、底の状態、浮いている粒子、生物や光の反射などにも左右されます。ピンクの湖では、そのうち色素をもつ微生物の存在が重要になります。

塩分が多い湖なら必ずピンクになるわけではありません。塩が結晶になって白い大地をつくる姿については、ウユニ塩湖が鏡になる仕組みと塩の大地のでき方も参考になります。水と塩が同じように関わっていても、現れる景色は違うのです。

ピンクレイクについてよくある疑問

水を染料で染めているの?

ここで紹介した湖のピンク色は、微生物などが関わる自然の現象です。ただし、インターネット上のあらゆる写真が無加工であることまで保証するものではありません。実在する自然現象と、一枚の画像が正確かどうかは別の問題です。

ピンク色なら泳いでも安全?

色だけで安全性は判断できません。Parks Victoria は、紹介しているピンクの湖で泳がず、水との接触を避けるよう案内しています。現地の表示と管理者の指示に従い、岸から景色を楽しみましょう。[2]

何月に行けば必ずピンク色が見られる?

湖ごとに条件が違い、降雨や塩分にも左右されるため、一律に保証できる月はありません。訪問を考えるなら、古い絶景写真よりも、直近の管理者や観光局の案内を確認することが大切です。

まとめ:ピンクレイクは、小さな微生物と水・塩・光がつくる不思議な風景です。なぜピンクなのかを知ると同時に、色が変わる自然の湖であることにも目を向けてみてください。

参考資料

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