流氷・氷山・氷河の違いは?でき方と塩分、海に浮かぶ氷の正体を解説

海面に広がる平たい氷と、海に浮かぶ大きな氷山のイメージ

海に浮かぶ白い氷を見ると、「流氷? それとも氷山?」と迷うことはありませんか。氷河という似た言葉もあり、大きさだけで区別したくなりますよね。

でも、流氷・氷山・氷河の違いを知る鍵は、氷がどこで、何からできたかです。北海道で知られる流氷と、極地の海に浮かぶ氷山では、もとになる水が違います。

まずは3つのイメージ

  • 流氷:海水が凍ってでき、岸に定着せず漂う氷
  • 氷河:陸に積もった雪が氷になり、重力でゆっくり動くもの
  • 氷山:氷河や棚氷から分かれ、海に浮かぶ氷の塊

ここでは流氷を主に「海水由来の漂う氷」として説明します。日常語では、もっと広い意味で使われる場合もあります。

流氷・氷山・氷河の違いを比較表で確認

でき方と場所で整理する氷の違い
種類 主な材料 でき方・状態 塩分の特徴
流氷(海水由来) 海水 海水が凍り、岸に定着せず漂う 塩分の一部を内部に含むが、海水そのままの濃さではない
氷河 主に陸に積もった雪 長く残る雪が氷となり、自重で流動する 基本は淡水由来
氷山 氷河や棚氷の氷 氷の大きな塊が分かれて海に浮く 基本は淡水由来

「小さければ流氷、大きければ氷山」という分け方だけでは、由来を取り違えてしまいます。同じ海に浮かんでいても、生まれ方が違うのです。

流氷は、海でできて漂う氷

北海道のオホーツク海沿岸で知られる流氷は、海水が冷やされてできた海氷です。海氷のうち岸に固定されていないものが、風や海の流れによって移動します。岸に接して固定されている氷は定着氷と呼びます。

寒さでできた小さな氷の結晶は、集まって海面を覆い、板状の氷へと育ちます。波で割れたり、氷同士が押し合ったりすると、形や厚さも変わります。流氷が全部、同じ形の薄い板になるわけではありません。北海道立オホーツク流氷科学センターの用語解説では、氷の結晶や、ぶつかり合ってできる氷の丘なども紹介されています。

「海氷」と「流氷」は同じ意味?

主に海水が凍った氷という由来に注目するのが海氷、岸に固定されず漂うという状態に注目するのが流氷、と考えると整理できます。

ただし用語には幅があります。気象庁の海氷用語でも、海氷を海に浮かぶ氷の総称とする使い方と、国際的に海水由来に限定する使い方を説明しています。「流氷」が広い意味で使われている文脈では、何を指しているか確かめることが大切です。

氷河は、陸で育ってゆっくり流れる氷

氷河の出発点は、陸に積もった雪です。夏にも融けきらずに残る雪の上へ、新たな雪が積もる状態が続くと、下の雪は重みで圧縮され、氷へと変化します。

厚くなった氷は、重力の作用でゆっくり変形したり移動したりします。これが氷河の流動です。「川」という字があっても、液体の水の川ではありません。米国地質調査所(USGS)の水循環用語集は、雪が氷になり、山地で下方へ流れる過程を説明しています。

同じ場所に雪が残っているだけで、必ず氷河になるわけではありません。USGSの氷河用語集でも、陸に起源を持ち、自重と重力によって動く氷の集まりとして定義されています。

氷山は、陸でできた氷が海へ出たもの

氷河が海へ達した場所や、陸から続く氷が海に張り出した棚氷から、大きな氷の塊が分離することがあります。その塊が海に浮かんだものが氷山です。英語では、氷が分かれる現象を「カービング(calving)」といいます。

氷山は、海水がその場で凍って山のようになったものではありません。もともとは陸に降った雪などから育った氷なので、基本的に淡水由来です。米国海洋大気庁(NOAA)の解説では、氷山が氷河や棚氷から分離すること、平らな頂部を持つ形や不規則な形があることを説明しています。

大きさだけで決めない:流氷は氷同士が押し合って高く積み重なることもあります。一方、氷山にも平らなものがあります。「山みたいに見えるか」より、氷の由来が重要です。

流氷はしょっぱくて、氷山はしょっぱくない?

大まかには、海水由来か淡水由来かという違いがあります。ただし、海水が凍ると、その塩が全部そのまま氷に入るわけではありません。

凍る過程で塩分の多くは周囲の海水へ押し出され、一部が氷の結晶の隙間に閉じ込められます。このため、海氷の塩分はできた後の状態によっても変化します。単純に「海水の氷だから海水と同じ塩辛さ」とは言えません。NOAAの海氷と海洋循環の解説が、この塩分の動きを説明しています。

氷山の氷は基本的に淡水由来ですが、海を漂う間に表面へ海水が付くことも考えられます。見た目や味だけで氷の種類を判定するより、でき方を確かめるほうが確実です。

よくある疑問

氷山も漂うなら、流氷に含まれるの?

「海を漂う氷」という広い日常的な意味なら、氷山を含めて流氷と呼ぶ場合もあります。一方、海水が凍った氷を指す専門的な使い方では区別します。言葉の範囲が違うので、単純な矛盾ではありません。

流氷が陸へ押し寄せて山になったら氷山?

山のように積み上がっても、氷河や棚氷から分かれた氷になるわけではありません。流氷の積み重なりと、氷山の成り立ちは別です。

北海道の流氷を見る日にちは毎年同じ?

同じではありません。海の氷は風や海流で動くため、見られる場所や状況も変わります。観察するときは、その時点の海氷分布や現地の案内を確認しましょう。

まとめ:形より「生まれ方」で見分けよう

主に海水が凍って漂うのが流氷、陸の雪から育って動くのが氷河、その氷が分かれて海に浮かぶのが氷山です。塩分の違いも、この生まれ方から理解できます。名前を覚えるだけでなく、氷がたどった道のりを想像すると、白い海の景色が違って見えてきます。

水や氷がつくる世界の不思議は、バイカル湖の深さと氷の巨大な輪でも紹介しています。塩分と水の性質については、死海で体が浮きやすい理由もあわせてどうぞ。

参考資料

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