マリアナ海溝の深さは何m?約11kmの海底と生物・水圧の謎

暗い深海の海底を照らす無人探査機と小さな甲殻類のイメージ

マリアナ海溝の深さは、最も深い場所で約11,000m(約11km)。地上で見上げる山の高さを、海の下へ逆さにたどるような距離です。では、なぜこれほど深くなり、太陽の光が届かない海底にはどんな生物がいるのでしょうか。

この記事のポイント

  • 最深部は「チャレンジャー海淵」。深さの数値は測り方によって少し変わる
  • 海溝は、海のプレートが別のプレートの下へ沈み込む場所にできる
  • 約11kmの海底でもヨコエビや微生物が確認されている

マリアナ海溝はどこ?最も深い場所はチャレンジャー海淵

マリアナ海溝は、西太平洋のマリアナ諸島の東側に延びる海底の大きなくぼみです。その南部、グアムの南西にあるチャレンジャー海淵が、地球の海で最も深い場所として知られています。

「マリアナ海溝」と「チャレンジャー海淵」は同じ範囲を指す言葉ではありません。長く延びる海溝の中に、特に深い海淵がある、と考えると分かりやすいでしょう。位置についてはNOAAの解説でも確認できます。

マリアナ海溝の深さは何m?数字が一つに決まらない理由

調べると「10,935m」など複数の深さが見つかります。これは、測った地点だけでなく、機器や補正の方法、基準とする海面なども関係するためです。

研究・公表年 示された深さ 読み取る際のポイント
2021年の測深研究 10,935m ±6m 平均海面を基準に、潜水艇の圧力などを補正した推定。±6mは95%信頼区間
2026年の「白鳳丸」観測研究 東側海盆で10,927m 研究で推奨する音速モデルを使った場合の最大水深

出典:2021年の研究(NOAA収録)、国立極地研究所の2026年研究紹介。

数mの違いだけで「海底が急に浅くなった」とは言えません。一般的な説明では「最深部は約11km」と捉え、細かな数字を比べるときには測定条件も一緒に見るのが大切です。

マリアナ海溝はなぜ深い?プレートが沈み込む仕組み

地球の表面は、プレートと呼ばれる岩盤に分かれています。マリアナ海溝付近では、太平洋プレートがフィリピン海プレートの下へ沈み込んでいます。海のプレートが曲がりながら地球内部へ入っていく場所に、細長い深いくぼみができるのです。

つまり、海水が穴を掘ったのでも、巨大な隕石が開けた穴でもありません。地球表面の岩盤が動く仕組みが、巨大な海底地形を生み出しています。プレートの関係はNOAAの太平洋地域の解説に示されています。

世界一深い湖も気になる方は、バイカル湖の深さとでき方もどうぞ。湖の深い盆地と海溝を比べると、地球の動きがつくる地形の多様さが見えてきます。

深さ11kmの水圧はどれくらい?

海では、深く潜るほど上にある海水の重さが加わります。目安として、水深が10m増すごとに圧力は約1気圧ずつ増えます。

水深 圧力の目安(海面の大気圧を含む)
海面 約1気圧
1,000m 約101気圧
6,000m 約601気圧
11,000m 約1,101気圧

これは分かりやすくした概算で、実際の圧力は海水の密度などでも変わります。水圧の基本はJAMSTEC・GODACの深海解説を参考にしています。

これほどの圧力があるため、深海探査機には機器を守る工夫が欠かせません。さらに、海面からの光が届かないので、海底の撮影には探査機の照明を使います。

マリアナ海溝の生物は?最深部にも命がある

「暗くて水圧が高いなら、生物はいないのでは」と思うかもしれません。しかし、JAMSTECの無人探査機「かいこう」は、1998年にチャレンジャー海淵の約10,900mでヨコエビの仲間や微生物を採取しました。

ヨコエビは小さな甲殻類です。海の最深部を考えるときは、巨大な魚よりも、こうした小さな動物や、目で見えない微生物の存在が重要になります。

深海の魚と、約11kmの最深部は分けて考えよう

JAMSTECは2017年、マリアナ海溝の水深8,178mでスネイルフィッシュ(クサウオの仲間)を撮影しています。ただし、8,178mでの魚の観測は、約11,000mの海底にも魚がいるという証拠ではありません。深海とひとくくりにせず、生物ごとに確認された深さを見分けましょう。

ここで挙げた数値は当時の観測事例で、現在の最深魚の記録を示すものではありません。出典:JAMSTEC「地球最深部の生命を探る」。

海の深さはどう測る?音速のわずかな違いも影響する

船から音を出し、海底で反射して戻るまでの時間を測ると、水深を求められます。基本の考え方は「音の速さ × 往復時間 ÷ 2」です。往復した距離なので、最後に2で割ります。

ただし、海水中の音の速さは一定ではなく、水温・塩分・圧力などで変化します。2026年公表の研究では、2023年に研究船「白鳳丸」で得た観測を解析し、音速モデルの選び方が最深部の水深に及ぼす影響を調べました。

東側海盆の最大水深は、用いるモデルによって10,914~10,932mと、18mの幅が生じました。この研究は、新しい最深記録を単純に決めるものではなく、深さをどこまで正確に測れるかを検証したものです。「何mか」という数字の背後にも、科学の工夫が隠れています。

マリアナ海溝についてよくある疑問

海溝の底は、地球の中心に近いの?

地上の感覚では11kmはとても深い距離ですが、海溝は地球表面の地形です。地球の中心へ通じる穴ではありません。

ブルーホールも海溝の仲間?

名前や見た目から、どちらも「海の深い穴」と思えますが、でき方が違います。海溝はプレートの沈み込みに関係する地形です。ブルーホールについては、ブルーホールの仕組みとでき方で解説しています。

「深海」と「超深海」は同じ?

一般に深海は水深200mより深い海を指し、そのうち6,000m以深の海溝などの領域は超深海(ハダル)と呼ばれます。マリアナ海溝の最深部は、この超深海にあります。

まとめ:マリアナ海溝は、地形と生命と測定の謎が重なる場所

マリアナ海溝の最深部は約11km。プレートの沈み込みで生まれた深い地形に、極端な水圧の世界が広がっています。それでもヨコエビや微生物が確認され、生命の広がりを教えてくれます。

深さの数字をただ覚えるだけでなく、「どう測ったのか」「どの深さで何が見つかったのか」に注目すると、身近な海が、まだ探究の続く世界に見えてくるはずです。

参考資料

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