宇宙に果てはある?観測できる限界・外側・壁の謎をやさしく解説

銀河がつくる宇宙の網状構造のイメージ

宇宙をどこまでも進むと、壁にぶつかるのでしょうか。それとも空間は無限に続いているのでしょうか。宇宙全体に果てがあるかどうかは、まだ分かっていません。一方で、私たちが観測できる範囲には限界があります。

この二つを混ぜると、「観測の限界が宇宙の壁」「宇宙の年齢と半径は同じ」といった誤解が生まれます。宇宙の果てを考えるときに大切な、時間と距離の関係から見ていきましょう。

「果て」は二つに分ける

  • 観測可能な宇宙の果て:過去の情報が私たちへ届く範囲の限界。
  • 宇宙全体の果て:空間そのものに端があるかという、未解決の問題。

宇宙の果ては、見える範囲の端とは限らない

光の速さは有限です。遠い天体ほど、その光が届くまでに長い時間がかかります。宇宙には有限の年齢があるため、どんなに優れた望遠鏡でも、あらゆる場所からの情報を今すぐ受け取れるわけではありません。

この、私たちに情報が届く範囲を「観測可能な宇宙」と呼びます。それは観測者を基準にした範囲で、物理的な壁に囲まれた部屋という意味ではありません。NASAも、宇宙全体の大きさは分からない一方、観測可能な範囲の大きさを推定できると説明しています。[出典:NASA]

約138億年なのに、半径は約460億光年?

宇宙の年齢は約138億年と推定されています。ところが観測可能な宇宙は、現在の距離に換算すると半径約460億光年、直径約920億光年という規模になります。

理由は、光が旅している間にも宇宙の空間が膨張してきたからです。「光が何年かけて届いたか」と「その光を出した物質が現在どれだけ遠いか」は、同じ数字にはなりません。

数字 何を表す?
約138億年 宇宙の年齢の推定値
約460億光年 観測可能な範囲の半径を現在の距離で表した目安
約920億光年 その直径の目安
宇宙全体の大きさ 観測できる範囲だけでは決められない

宇宙の大きさは採用する宇宙論モデルなどにも依存する概数です。年齢の出典:ESA・Planck。大きさの出典:NASA。

宇宙の外側には何がある?

「観測可能な宇宙の外側」と「宇宙そのものの外側」も別の問いです。前者は、私たちへまだ情報が届いていない領域を指します。見えないからといって、そこで空間が終わるとは言えません。

後者については、宇宙を外から眺められる場所があると、最初から仮定すること自体が適切か分かりません。宇宙の膨張も、空っぽの外側へ物質が爆発して飛び出す図だけでは表せない現象です。

「外側には別の宇宙がある」というアイデアもありますが、確認済みの風景として紹介することはできません。想像できることと、観測によって確かめられたことを分けて考えましょう。

宇宙に壁はある?全宇宙地図の端は何?

宇宙を円形にまとめた図は、広大な範囲を一枚に収めるために距離の縮尺を工夫した地図です。外周に模様が描かれていても、それが宇宙を囲む壁の写真ではありません。

宇宙マイクロ波背景放射は、宇宙が誕生して約38万年後、光が遠くまで進めるようになったころの情報を伝えています。遠くを見ることが昔を見ることになる、という性質を理解する手がかりです。[出典:ESA]

また、銀河が集まった大規模構造を「壁」と呼ぶ場合もありますが、宇宙空間を閉じる境界という意味ではありません。言葉のイメージだけで判断しないことが大切です。

宇宙は無限なの?有限でも端がない?

宇宙全体が無限か有限かは確定していません。数学的には、有限の広さを持ちながら端を持たない空間を考えることもできます。

よく使われるたとえは地球の表面です。表面の面積は有限ですが、どこかに「地表の端」があるわけではありません。ただし、これは理解のための二次元のたとえで、宇宙が地球の表面と同じ形だと確認されたという意味ではありません。

よくある疑問

もっと強い望遠鏡なら、果ての外が見える?

暗い天体を見つける能力は上がりますが、まだ届いていない情報を望遠鏡の性能だけで受け取ることはできません。観測装置の限界と、情報が伝わる範囲の限界は別です。

地球が宇宙の中心なの?

地球が観測可能な範囲の中心になるのは、地球から観測しているためです。別の場所の観測者には、その場所を中心にした見える範囲があります。

光以外でも宇宙を調べられる?

はい。重力波の観測などは、光とは異なる情報を与えてくれます。ただし、それだけで宇宙全体の外側まで見えると約束されているわけではありません。

宇宙の果ての謎を楽しむ鍵は、「見えていない」と「存在しない」を同じにしないことです。宇宙の中身の謎は、ダークマターの解説でも紹介しています。

参考資料

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