柱状節理はなぜ六角形?でき方と岩の柱が並ぶ不思議を解説

海岸に並ぶ柱状節理の岩の柱と多角形の断面のイメージ

海岸や峡谷に、巨大な石の柱がぎっしり並んでいる。誰かが岩を切りそろえたように見えるこの地形が、柱状節理(ちゅうじょうせつり)です。

柱状節理ができる主な理由は、熱い岩が冷えて縮むときに割れ目が入ること。六角形がよく現れるのは、割れ目の交わり方が関係しています。ただし、すべてが六角形になるわけではありません。

この記事のポイント

  • 柱状節理は、冷却による収縮でできる柱状の割れ目
  • 割れ目が約120度で交わる配列は六角形につながる
  • 四角形や五角形もあり、柱の方向も冷える面によって変わる

柱状節理とは?岩が柱のように区切られた構造

「節理」は岩石にできた割れ目のことです。その割れ目によって岩が長い柱のように区切られたものを、柱状節理と呼びます。

玄武岩の溶岩などによく見られますが、玄武岩だけに限られません。石の柱を一本ずつ積み上げたのではなく、もともとつながっていた岩の塊に割れ目ができたと考えると、成り立ちがイメージしやすくなります。参考:米国国立公園局の柱状節理解説。

柱状節理のでき方:冷える・縮む・割れる

熱い岩石は、冷却すると体積が小さくなります。しかし、周囲とつながった大きな岩の塊は、どこでも自由に縮めるわけではありません。内部に引っ張る力がたまり、岩が耐えられなくなると割れます。

  1. 溶岩などの熱い物質が冷えて岩石になる
  2. さらに冷えるにつれて岩石が収縮する
  3. 引っ張る力によって割れ目が生まれる
  4. 冷却が内部へ進むのに伴い、割れ目も伸びて柱状になる

大切なのは、柱の形のまま溶岩が流れ出したわけではないという点です。熱が失われていく過程が、岩の中に形として残ります。基本的な仕組みはアラスカ大学地球物理研究所も解説しています。

固まった後にも、割れ目はできる

2018年の研究では、アイスランド産の玄武岩を使った実験で、固体になった後の冷却によって力が蓄積し、約890~840℃で大きな亀裂が生じました。

これは、その実験試料と条件で得られた結果です。世界中の柱状節理が必ず同じ温度で割れるという意味ではありません。それでも、「液体が固まる瞬間」だけでなく、その後の熱収縮が重要だと分かります。出典:Lamurほか(2018)、Nature Communications。

柱状節理はなぜ六角形になる?約120度の交わり方

柱を上から見ると、蜂の巣に似た模様に見えることがあります。ここで注目したいのは、一つの角に集まる割れ目の角度です。

3本の割れ目がほぼ均等に交わると、周囲の360度を3つに分けるので約120度になります。このような交点が並ぶ割れ目の網目は、六角形に近い配列をつくります。

ただし、「六角形なら隙間なく並べられるから」とだけ説明すると不十分です。三角形や四角形も平面を隙間なく埋められます。柱状節理では、収縮で生まれる力と、割れ目が内部へ進んでいく過程を合わせて考える必要があります。

割れ目の模様を扱った研究では、初めから完全な六角形ができるとは限らず、亀裂が段階的に進む間に配列が変化することが論じられています。出典:Goehring(2013)の割れ目パターン研究。

柱状節理はすべて六角形?五角形や四角形もある

自然の岩は均一ではなく、冷え方も場所ごとに違います。そのため、断面には六角形だけでなく、五角形や四角形なども現れます。柱の太さや曲がり方も一定ではありません。

米国のデビルズ・ポストパイルは整った柱が見られる有名な場所ですが、USGSの説明では、六角形の柱は平均で約55%です。六角形が多い例であっても、すべてが同じ形ではないのです。出典:米国地質調査所(USGS)。

「六角形以外は失敗」と見る必要はありません。不ぞろいな部分にも、冷却や割れ目の進み方の情報が残っています。

岩の柱はなぜ縦に伸びる?横向きになることも

柱状節理の柱は、基本的に冷える面に対して垂直な方向に伸びます。上下の面から冷える溶岩では、縦向きの柱ができやすくなります。

一方、側面から冷えれば柱が横向きになることもあります。冷却面の形が複雑なら、柱が曲がる場合もあります。見た目の「縦・横」よりも、「どの面から熱が逃げたか」を考えると仕組みを理解しやすくなります。参考:アラスカ大学の解説。

柱状節理と鍾乳石の違いを比較

どちらも柱のように見えますが、でき方は大きく違います。

比較する点 柱状節理 鍾乳洞の石柱
主な仕組み 岩石が冷えて縮み、割れ目で区切られる 水に溶けた成分が析出して育つ
柱の生まれ方 大きな岩の塊が分かれる 鍾乳石と石筍が成長してつながる
観察の注目点 断面の角の数、柱の向き、割れ目 つらら状の部分、床から伸びる部分、水の通り道

地下の柱については、鍾乳洞のでき方と鍾乳石・石筍の違いで詳しく解説しています。熱と水がつくる別の景観は、間欠泉の仕組みも参考になります。

柱状節理を眺めるときの3つのポイント

  • 断面の角を数える:六角形以外も探すと、自然の不ぞろいさが分かる
  • 柱の向きを見る:冷却面の向きを考える手がかりになる
  • 側面と上面を見比べる:長い柱と多角形の断面が同じ構造だと分かる

柱の側面だけを見ていると、細長い岩の集まりに見えます。写真で上面も探してみると、割れ目の網目が奥へ続いていることを実感できるでしょう。

柱状節理についてよくある疑問

波が岩を六角形に削ったの?

柱状の割れ目は、主に冷却と収縮でできます。波や川による侵食は、できていた構造を露出させる役割があります。伊豆半島ジオパークも、侵食や隆起によって柱状節理が姿を現すと説明しています。参考:伊豆半島ジオパーク「柱状節理」。

巨大な六角形の結晶なの?

柱状節理は、大きな岩の塊に入った割れ目の構造です。柱全体が一つの巨大な結晶として成長した、という意味ではありません。

人が加工したものではないの?

天然の柱状節理は、冷却と亀裂の発達で生まれます。規則的に見える形でも、人工物とは限りません。自然の模様を見分けるときは、形だけでなく成り立ちを調べることが大切です。

まとめ:岩の六角形は、冷却と割れ目の記録

柱状節理は、熱い岩が冷えて縮み、割れ目が内部へ伸びることでできる構造です。約120度で交わる亀裂の配列は六角形につながりますが、四角形や五角形もあり、柱の向きや形も変わります。

整った部分と不ぞろいな部分を見比べると、石の柱は「自然の彫刻」であると同時に、岩が冷えた過程を記した手がかりに見えてきます。

参考資料

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