地球影とは?ビーナスベルトとの違いと見える時間・方角を解説

水平線の上に青紫色の地球影と淡いピンク色のビーナスベルトが重なる空

夕日が沈んだあと、反対側の空に目を向けると、地平線の上に青紫色の帯が広がっていることがあります。そのすぐ上には、淡いピンク色の帯。空が二層に分かれたように見える、不思議な眺めです。

下の暗い帯は地球影(ちきゅうえい)、上の明るい帯はビーナスベルトと呼ばれます。自分が立っている地球の影を、地上から見ているのです。仕組みと違い、見える時間や方角を紹介します。

探す方向は、太陽の反対側
夕方は日没直後の東の空、朝は日の出前の西の空が目安です。地平線に近い青紫色の帯が地球影、その上のピンク色の帯がビーナスベルト。低い空まで見渡せる場所で探してみましょう。

地球影とは?地球が自分の大気につくる影

地球影は、地球が太陽の光を遮ることで生まれる影です。ここで取り上げるのは、朝夕に太陽と反対側の低い空で見える、青みを帯びた暗い部分です。

国立極地研究所は、南極の昭和基地で観察された写真とともに、地平線に近い薄青い部分が地球影、その上のピンクや薄紫の部分がビーナスベルトと説明しています。南極だけの現象ではなく、日本でも晴れた日に見ることができます。【出典:国立極地研究所・地球影とビーナスベルト】

地面に落ちる木や建物の影と違い、影ができているのは大気中です。雲の底に黒い模様が映っているわけではないため、雲がなくても現れます。

日没後なのに、影の上が明るいのはなぜ?

地上から太陽が見えなくなっても、上空にはまだ太陽の光が届く部分があります。一方、地球に遮られて直射光が届かない低い側の大気は、相対的に暗く見えます。この違いが、地平線に沿った帯として見えるのです。

大気光学を解説するAtmospheric Opticsは、地球影を、太陽光に照らされていない大気の三次元的な領域として説明しています。空に平らなスクリーンがあり、そこに地球の輪郭が投影されている、と考えるよりも、大気のどの部分まで日が当たっているかを見ていると考えるほうが理解しやすくなります。【出典:Atmospheric Optics・Earth’s Shadow】

日没が進むと、東の空では暗い帯が上へ広がっていきます。そして境界が次第に分かりにくくなり、周囲の夜空に溶け込んでいきます。「暗くなる空」を見るだけでも、地球の大きさと太陽との位置関係が感じられる場面です。

ビーナスベルトがピンク色になる仕組み

ビーナスベルトは、地球影のすぐ上に見える、ピンクや薄紫がかった帯です。「ベルトオブビーナス」とも呼ばれます。地球影そのものと同じ部分ではなく、その上側の光を受けた大気の色に注目した呼び名です。

太陽が低い位置にあると、光は大気の中を長く通ります。その過程で青い光などが散乱され、赤みを帯びた光が残りやすくなります。この光が太陽と反対側の大気で散乱され、私たちの目に届くことで、淡い赤やピンクの帯が見えます。

NASAは、この帯の名前は惑星の金星そのものではなく、神話の女神に由来すると説明しています。金星の光が空をピンクに染めているわけではありません。名前から金星を探したくなりますが、見ているのは太陽光と地球の大気が生む色です。【出典:NASA・What’s Up: April 2021】

見える時間と方角|朝と夕方で逆になる

観察する時間 見る方角の目安 空の変化
日没直後 東側の低い空 地球影が上へ広がり、やがて不明瞭になる
日の出前 西側の低い空 地球影が地平線側へ下がっていく

大切なのは、朝夕とも太陽の反対側を見ることです。季節によって太陽が昇る・沈む位置が変わるため、「真東の一点」「真西の一点」だけにこだわらず、低い空を広く見渡してください。

「日没の何分後なら必ず見える」と固定して覚える必要はありません。国立極地研究所の昭和基地の紹介では20分ほどで消えるとされていますが、その時間をすべての場所や日に当てはめることはできません。まず日没直後から数分おきに同じ空を見て、帯の高さと色の変化を追うと分かりやすいでしょう。

見つけやすいのは、低い空が開けた場所

建物や山に隠されず、地平線や水平線の近くまで見渡せる場所が向いています。必ずしも高い山に登る必要はありません。海辺や開けた平地など、安全に立ち止まれる場所から観察できます。

雲に覆われた日は見えにくく、同じ場所でも色の鮮やかさは毎回違います。2015年の観測研究では、空気中の微粒子の量も、地球影やビーナスベルトの見え方に関わることが示されています。「見本写真と同じ色でないから別の現象」と決めつけず、位置と帯の並びも確かめてください。【出典:Applied Optics「Measuring and modeling twilight’s Belt of Venus」】

月食で見える地球の影とは関係がある?

月食も、地球が太陽光を遮ることで起こります。国立天文台によると、太陽とは反対方向に伸びる地球の影の中を月が通過すると、月が暗くなったり欠けたように見えたりします。【出典:国立天文台・月食とは】

共通しているのは、光を遮っているのが地球であることです。ただし、朝夕の地球影では大気中の明暗を見ているのに対し、月食では影に入った月の変化を見ています。地球影を見るために、月食の日や満月の日を待つ必要はありません。

夕日の反対側にも、空の見どころがある

夕方は沈む太陽に目が向きがちですが、反対側にも地球の影と光がつくる景色があります。青紫の帯の上に淡いピンクが重なる空を見つけたら、少し時間を置いて、どこまで暗さが広がったか比べてみてください。

朝夕の空の光に興味がある方には、雲の切れ間から筋状に見える天使のはしご・薄明光線の仕組みも紹介しています。また、太陽が昇らなくても薄明が見られる場合がある理由は、極夜はずっと真っ暗なのかの記事で解説しています。

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