極夜はずっと真っ暗?起こる仕組みと白夜との違い・続く期間を解説

太陽が昇らない極夜の薄明と雪に覆われたフィヨルド

朝になっても太陽が昇らない。北極圏や南極圏には、そんな日が続く季節があります。これが極夜(きょくや)です。「何週間も真っ暗な世界なの?」と想像すると、少し不思議に感じますよね。

実は、太陽が顔を出さなくても、空がほのかに明るくなる場所があります。極夜が起こる仕組み、白夜との違い、期間と明るさの関係を順に見ていきましょう。

先に答え
極夜は、一日中太陽が地平線より上に昇らない期間です。ただし、太陽が地平線のすぐ下に近づく場所では、昼ごろに薄明るくなることがあります。どれほど暗いか、何日続くかは、場所と季節によって違います。

極夜とは?「夜」という言葉だけで考えない

極夜を考えるときの基準は、時計が何時かよりも、太陽が地平線を越えるかどうかです。冬の高緯度地域では、正午ごろでも太陽が昇らず、日の出を迎えない日が続くことがあります。

曇りや吹雪で太陽が見えない日とは、理由が異なります。雲がなくなれば見える太陽が隠れているのではなく、太陽の通り道そのものが地平線の下にあるのです。山にさえぎられて日差しが届かない状況とも分けて考えましょう。

環境省「南極キッズ」は、一日中太陽が出てこない日を極夜、反対に一日中太陽が出ている日を白夜と紹介しています。

極夜はなぜ起こる?地球の傾きと公転が関係する

地球は傾いた軸で自転しながら、太陽を回っている

地球の自転軸は、公転する面に垂直な方向に対して約23.4度傾いています。その傾きを保ちながら太陽の周囲を回るため、太陽の光が届く範囲は季節とともに変わります。

北半球の冬は、北極側が太陽から背を向けるような配置になります。北極に近い場所では、地球が一回転しても日が当たる側へ入れないことがあり、太陽が昇らない一日になります。

「地球が回らなくなる」わけではありません。自転は続いていても、傾きと季節の組み合わせによって、日が当たる範囲に入らないのです。自転そのものの基礎は、地球が自転し続ける理由でも解説しています。

北極側と南極側では、季節が反対になる

北極側が冬で極夜になるころ、南極側は夏です。半年ほどたって地球が太陽の反対側へ進むと、南極側が冬になります。北と南の極域が、同じ季節にそろって長い極夜を迎えるわけではありません。

国立天文台の暦Wiki「ところ変われば季節も変わる」でも、夏至・冬至の光の当たり方と、白夜・極夜の関係が説明されています。

極夜でも薄明るくなるのはなぜ?

普段の夕方を思い出してみてください。太陽が沈んだ瞬間に、空が真っ黒になるわけではありません。地平線より下にある太陽が大気を照らし、その光が散乱して空に届くためです。この、夜明け前や日没後のほの明るい状態を薄明(はくめい)といいます。

極夜にも、太陽が地平線の近くまで上がる時間帯があります。太陽の円盤は見えなくても、大気に届いた光で昼ごろの空が青や淡い赤に染まることがあるのです。

一方、太陽が地平線から深く沈んだままの地域や時期では、薄明も弱くなります。「極夜は必ず真っ暗」も、「極夜なら昼は必ず明るい」も、どちらも一律には言えません。雲や天候によって見た目の明るさも変わります。

薄明の区分は、太陽が地平線より何度下にあるかで定義されます。米国気象局は、市民薄明・航海薄明・天文薄明の境界をそれぞれ太陽中心の高度−6度・−12度・−18度として説明しています。角度が深くなるほど、空に残る太陽光は弱くなります。参考:米国気象局「Definitions of Twilight」

白夜と極夜の違いを比較

比べる点 極夜 白夜
太陽の動き 一日中、地平線より上に昇らない ここでは、一日中太陽が沈まない状態を指す
起こる季節 その半球の冬 その半球の夏
空の明るさ 薄明になる場所・時間帯もある 深夜でも太陽の光が届く
続く長さ 高緯度ほど長くなる 高緯度ほど長くなる

なお、「白夜」という言葉は、太陽が沈んでも薄明が続いて夜が暗くならない状態を含めて使われることもあります。この記事では、極夜との対比を明確にするため、環境省の説明に沿って一日中太陽が沈まない場合を基本にしています。

極夜は何日続く?昭和基地と南極点では違う

南極全体で同じ日数になるわけではありません。環境省の説明では、昭和基地は約45日間、南極点は約半年間が目安です。極に近づくほど、太陽が昇らない期間が長くなります。

「南極の冬は半年ずっと真っ暗」という言い方では、場所の違いと、日の出の有無・空の明るさの違いがまとめられてしまいます。期間の説明では、まずどこの場所の話かを確かめることが大切です。

昭和基地の記録では、正午ごろに薄明かりがある

国立極地研究所の2011年5月31日の記録には、昭和基地が極夜に入り、正午を中心とする数時間は日の出前や日没後ほどの薄明かりになると記されています。屋外の作業には、この時間帯が活用されていました。

当日の気象情報は「日の出なし・日の入なし」。それでも正午ごろの明るい空の写真があるのは、矛盾ではありません。太陽の姿が見えることと、その光が大気を通じて届くことが別だからです。参考:国立極地研究所「昭和基地NOW!! 極夜入り」

極夜は、地球と太陽の関係が見える季節

極夜の不思議は、太陽が消えることではなく、傾いて回る地球の上で、太陽の見える範囲が変わることにあります。日の出がなくても薄明が残る場所があり、同じ極夜でも明るさや期間は異なります。

地平線付近の光を楽しむ現象として、天使のはしご・薄明光線もあります。「太陽が見えないから光もない」とは限らないと分かると、朝夕や極地の空が、少し違って見えてきます。

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