地球は約1年で太陽を一周します。でも、惑星はどんな道を通り、どんな速さで進んでいるのでしょうか。太陽から遠い惑星ほど、一周に時間がかかるのはなぜでしょう。
こうした惑星の動きを整理したのが、ケプラーの法則です。数式の印象が強い言葉ですが、まずは「軌道の形」「進む速さ」「一周する時間」の3つに分けると、内容をつかみやすくなります。
この記事では、ケプラーの法則とは何かを、3つの法則の違いと簡単な計算例でわかりやすく解説します。
- 第1法則:惑星の通り道は、太陽を一つの焦点とする楕円。
- 第2法則:同じ惑星は、太陽に近いところでは速く、遠いところでは遅く進む。
- 第3法則:同じ太陽を回る惑星では、軌道が大きいほど一周に時間がかかる。
ケプラーの法則とは?惑星の運動を表す3つの規則
ケプラーの法則は、天文学者ヨハネス・ケプラーが惑星の観測資料をもとに見いだした規則です。ケプラーは、ティコ・ブラーエが残した精密な観測、とくに火星の動きを調べ、円だけではうまく説明できないことに向き合いました。
大切なのは、星の運動を「こうあるはず」と決めつけず、観測に合う形で記述したことです。3つの法則は、惑星の動きを考える基本として今も使われています。
| 法則 | 何を説明する? | 覚える言葉 |
|---|---|---|
| 第1法則 | 惑星が通る軌道の形 | 楕円・焦点 |
| 第2法則 | 一つの軌道上での進み方 | 面積速度一定 |
| 第3法則 | 軌道の大きさと一周する時間の関係 | 周期の2乗・長半径の3乗 |
参考:NASA「Planetary Motion: The History of an Idea That Launched the Scientific Revolution」
第1法則:惑星の軌道は太陽を焦点とする楕円
第1法則は、惑星が太陽を一つの焦点とする楕円軌道を公転するというものです。楕円は、円を少しつぶしたような形をしています。
ここで間違えやすいのが、太陽の位置です。太陽は楕円の真ん中に置かれるのではなく、「焦点」と呼ばれる二つの点のうち、一方に位置します。もう一方の焦点に、別の太陽がある必要はありません。
そのため、惑星と太陽の距離は一周の間に変化します。最も近い場所を近日点、最も遠い場所を遠日点と呼びます。
ただし、太陽系の惑星の軌道は、多くが円に近い楕円です。説明図では違いを見やすくするため、細長さが強調されることがあります。地球が毎年、極端に細長い道を行ったり来たりしていると想像する必要はありません。
参考:NASA「Basics of Space Flight:Gravity & Mechanics」
第2法則:面積速度一定とは?近いと速く、遠いと遅い
第2法則は、惑星と太陽を結ぶ線が、同じ時間の間に掃く面積は等しいという規則です。「面積速度一定の法則」とも呼ばれます。
太陽と惑星を一本の線で結び、その線が動いた跡に色を塗るところを想像してください。たとえば10日間ずつ区切ると、太陽の近くを進むときも、遠くを進むときも、塗られる面積が同じになります。
太陽に近い場所では、結ぶ線が短いぶん、惑星は大きく進んで面積を掃きます。遠い場所では線が長いため、進む角度が小さくても同じ面積を掃けます。結果として、同じ惑星は近日点で最も速く、遠日点で最も遅く進みます。
「一定」なのは面積を時間で割った値です。速さや、同じ時間に進む距離が一定なのではありません。ここを区別すると、第2法則の意味がはっきりします。
第3法則:公転周期の2乗は軌道長半径の3乗に比例する
第3法則は、異なる大きさの軌道を比べるための規則です。公転周期をT、軌道の長半径をaとすると、T² ÷ a³ が一定になります。
公転周期は、一周するのにかかる時間。長半径は、楕円を最も長い方向に横切る長さの半分です。楕円では太陽までの距離が変わるので、たまたま観測した瞬間の距離をaに入れないようにしましょう。
軌道の長半径が4倍なら、一周は何倍?
同じ太陽を回る、質量の十分小さい二つの惑星を考えます。片方の軌道長半径がもう片方の4倍なら、周期の2乗は4³=64倍です。したがって周期は、その平方根の8倍になります。
遠い惑星は通る道が長いだけでなく、公転の進み方も違います。一周の時間は、距離に単純比例するわけではないのです。
太陽系の惑星では、aを天文単位(au)、Tを年で表すと、近似的にT²=a³という形で使えます。別の質量の恒星を回る惑星まで同じ係数にすることはできず、中心天体などの質量を考える必要があります。
参考:NASA JPL Education「Exploring Exoplanets with Kepler」
ケプラーの法則について、よくある疑問
太陽に近いときが夏になる?
地球と太陽の距離が変わることは事実ですが、地球の季節の主な原因は自転軸の傾きです。太陽光の当たる角度や昼の長さが変わるため、夏と冬が生まれます。
地球は現在、1月上旬ごろに太陽へ最も近づきます。それでも日本を含む北半球は冬です。「近日点=夏」と結び付けないことが大切です。
参考:米国海軍天文台「The Seasons and the Earth’s Orbit」
ニュートンの法則とは何が違う?
ケプラーの法則は、惑星がどのように動くかを観測からまとめたものです。その動きを、運動の法則と万有引力によって説明できるようにしたのがニュートンです。
実際の惑星は、ほかの惑星からも引力を受けます。精密な軌道計算ではその影響なども扱いますが、まず太陽と惑星の二つの天体に注目すると、3つの法則が動きを理解するよい出発点になります。
まとめ:形・速さ・周期に分けると理解しやすい
ケプラーの第1法則は軌道の形、第2法則は一つの軌道の中での進み方、第3法則は軌道の大きさと公転周期の関係を表します。
「楕円」「面積」「2乗と3乗」を丸暗記する前に、それぞれが何を説明する規則なのかを押さえてみてください。惑星の公転が、ただ同じ速さで円を回る動きではないことが見えてきます。
地球から惑星を見たときの不思議は、惑星が逆走して見える「逆行」の仕組みでも解説しています。複数の天体の引力が関わる場所に興味がある方は、ラグランジュ点とは何かもあわせてどうぞ。


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