夜空で一つの星に見えていても、実は二つの星がペアになっていることがあります。太陽のように一つで光る星だけでなく、宇宙には連星という組み合わせがあるのです。
ただし、近くに並んで見える星が、すべて連星とは限りません。地球から見た方向がたまたま似ているだけの場合もあります。
この記事では、連星とは何か、二重星との違い、二つの星が回る仕組みを解説します。望遠鏡で二つに分かれなくても、その存在を見つけられる理由にも触れていきましょう。
- 連星は、互いの重力で結びついた二つの星。
- 一方だけが止まっているのではなく、両方が共通の重心の周りを回る。
- 空で近くに見えることと、宇宙でペアを組んでいることは別。
連星とは?重力で結びついた2つの星
連星(れんせい、binary star)とは、二つの星が重力的に結びつき、共通の重心の周りを公転しているものです。二つをまとめて「連星系」と呼びます。
星の組み合わせはさまざまです。似た性質の星同士もあれば、明るさや質量が大きく異なる組もあります。一方が白色矮星など、進化の進んだ天体になっている場合もあります。
ここでいう公転は、地球から見て星が一晩で空を横切る動きとは別です。二つの天体が、互いの重力を受けながら軌道運動することを指します。
連星と二重星の違いは?見え方と本当の関係を分ける
二重星は、地球から見て二つの星が近い方向に並んで見えるものです。その中には、実際にペアとして回る連星も、遠近の異なる星が偶然並んで見える「見かけの二重星」もあります。
遠くの山と手前の木が、写真では隣り合って写ることを想像すると分かりやすいでしょう。同じ画面に近く写っても、実際に同じ場所にあるとは限りません。星空でも、見かけの並びだけで奥行きは決まりません。
| 言葉 | 何に注目した呼び方? | 星同士の関係 |
|---|---|---|
| 二重星 | 空で二つの星が近くに見えること | 連星も、見かけだけの組み合わせも含む |
| 連星 | 重力で結びつき、公転していること | 実際に同じ系をつくっている |
| 見かけの二重星 | たまたま近い方向に見えること | 二つの星が連星系をつくっているわけではない |
「二重星と連星は、まったく別の箱」と覚えるより、見え方を表す言葉と、物理的な関係を表す言葉を分けるのがポイントです。
また、二つに分離して見えない連星もあります。一つの光点に見えるからといって、必ず一つの星とはいえないのです。
連星はどう回る?共通の重心が中心になる
連星の説明で大切なのが、共通重心です。二つの天体の質量と位置によって決まる、つり合いの中心のような点だと考えてください。
二つの星の質量が同じなら、重心は両者のちょうど中間にあります。質量が異なれば、重心は質量の大きい星のほうへ寄ります。
どちらの場合も、重心を基準にすると二つの星は互いに反対側に位置し、それぞれが重心の周りを回ります。質量の大きい星は小さい軌道を、質量の小さい星は大きい軌道を描きます。
そのため、「明るくて大きな星が完全に静止し、その周りを小さな星だけが回る」というイメージは正確ではありません。質量差が大きいと、一方の動きが小さく見えることはあります。
軌道を理解する基本は、ケプラーの3つの法則にもつながります。ただし、連星では両方の天体の質量を考えて扱います。
参考:欧州宇宙機関(ESA)教育教材「Barycentric balls」
連星の見つけ方:実視・分光・食の違い
実視連星:2つの星の位置を追う
望遠鏡などで二つの星を分けて観測できるものを、実視連星と呼びます。位置関係が長い時間をかけてどう変わるかを調べ、軌道運動を追います。
分光連星:光の波長の変化を調べる
星を二つに分けて撮影できなくても、光を波長ごとに調べる分光観測が手がかりになります。公転によって星がこちらへ近づいたり遠ざかったりすると、ドップラー効果でスペクトル線の波長が周期的にずれます。
この変化から分かるのが分光連星です。両方の星のスペクトル線が見える場合だけでなく、主に一方の星の光から、相手の存在を推定する場合もあります。
参考:天文学辞典「分光連星」
食連星:重なったときの暗さを測る
地球から見て星同士が重なる向きに軌道があると、一方が他方の光を遮り、全体の明るさが周期的に変わります。これが食連星です。
どの連星でも食が起こるわけではなく、観測する向きが重要です。また、星の明るさが変わる原因は食以外にもあります。観測法による分類は重なることがあり、「食連星なら分光連星ではない」とは限りません。
参考:ESA「How Gaia detects binary stars」
身近な例はシリウス:明るい星にも伴星がある
冬の夜空でよく知られるシリウスも、連星の例です。明るいシリウスAと、白色矮星のシリウスBがペアをつくり、公転周期は約50年です。
シリウスBは小さく、Aに比べて非常に暗いため、肉眼で簡単に二つの星を見分けられるわけではありません。目立つ星の光の近くに、性質の違う相手が隠れているのです。
星の数は、見た目の光点の数だけでは決まりません。観測技術によって、一つに見えたものの中身が明らかになります。
参考:NASA「The Dog Star, Sirius, and its Tiny Companion」
まとめ:連星は、見かけではなく重力でつながる星のペア
連星は、二つの星が重力的に結びつき、共通の重心の周りを回るものです。二重星との違いを考えるときは、空での見え方と、宇宙空間での関係を分けると整理できます。
二つに分けて見えなくても、位置やスペクトル、明るさの変化が相手の存在を教えてくれます。いつも見ている星にも、目には分からないパートナーがいるかもしれません。
シリウスBのような星については、白色矮星が核融合を終えても光る理由もあわせてどうぞ。


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