中性子星とは?角砂糖1個で数億トンになる理由とパルサーの違い

星雲に囲まれ、両極方向へ光のビームを放つ中性子星の想像図

「角砂糖1個分で数億トン」と聞くと、宇宙のたとえ話に思えますよね。ところが、この言葉が指している中性子星は、実際に観測されている天体です。

中性子星とは、大質量の恒星が最期を迎えたあとに残る、非常に小さく高密度な天体のこと。なぜそこまで重くなるのか、パルサーやブラックホールとは何が違うのかを、順番に見ていきましょう。

この記事のポイント

  • 太陽ほどの質量が、直径数十kmほどに押し込められている
  • 「角砂糖」は体積のたとえで、砂糖が重くなるわけではない
  • パルサーは、規則的なパルスとして観測される中性子星

中性子星とは?都市ほどの大きさに太陽級の質量

星の大きさと質量は、必ずしも比例しません。中性子星はその極端な例です。JAXAの解説では大きさは20km程度、KEKの解説では半径10~15km程度と紹介されています。つまり直径およそ20~30kmという都市規模の球に、太陽に匹敵する質量が集まっているのです。

これらは代表的な目安であり、すべての中性子星が同じ大きさ、同じ質量という意味ではありません。普通の恒星のような、広く膨らんだガスの球とは大きく異なります。出典:JAXA「中性子星」、KEK「加速器でつくる中性子星のあんこ」

中性子星はどうやってできる?超新星爆発との関係

大質量の恒星では、中心の核融合によって生じる圧力が、内側へ縮もうとする重力に対抗しています。しかし、星が進化して中心を支えきれなくなると、中心核が急激に崩壊します。

この過程では物質が極端に圧縮され、電子と陽子が反応して中性子が生じます。外側の物質が超新星爆発で吹き飛ばされたあと、中心に残った天体が中性子星になる場合があります。残る中心核の条件によっては、さらに崩壊してブラックホールになります。

ただし、あらゆる星が中性子星になるわけではありません。太陽のような星は、通常は白色矮星へと進化する別の道をたどります。出典:NASA「Neutron Stars」、NASA「Why the Sun Won’t Become a Black Hole」

星の最期については、当ブログの超新星爆発の記事もあわせてどうぞ。

角砂糖1個で数億トン?重さのたとえを計算してみる

JAXAは、中性子星の高い密度を「角砂糖1個分で数億トン」と説明しています。ここで比べているのは、同じ体積にどれだけの質量が入るかです。角砂糖そのものが変化するという話ではありません。

1cm角の立方体なら、約3億トンという目安

イメージをつかむため、太陽の約1.4倍の質量を、半径13kmの球に詰めたモデルで平均密度を計算してみます。太陽の質量を約2×1030kgとして、球の体積で割ると、平均密度は約3×1017kg/m3になります。

編集部による概算

1cm3=0.000001m3
約3×1017kg/m3 × 0.000001m3
=約3×1011kg=約3億トン

これは代表的な質量・半径を仮定した平均密度の計算です。星の内部の場所や、想定する角砂糖の大きさによって数字は変わります。

資料によって数億トン、10億トンなど数字が違うのは、体積や密度の前提が同一ではないためです。大切なのは、日常の物質とは桁違いの密度だという点でしょう。

中性子星のかけらを地球に持ってこられる?

このたとえは、中性子星の物質を実際に取り出して地球で量った結果ではありません。星の質量や大きさから推定する密度を、身近な体積に置き換えた比較です。「角砂糖サイズの超重量の石」が地球にある、と受け取らないようにしましょう。

パルサー・マグネター・ブラックホールの違い

中性子星を調べると、似た言葉がいくつも出てきます。パルサーやマグネターは、中性子星と無関係な別の星というわけではありません。

名前 どんな天体・呼び方? 主な特徴
中性子星 恒星の中心核が崩壊して残る高密度天体 都市ほどの大きさに太陽級の質量
パルサー 規則的なパルスが観測される中性子星 回転する放射のビームが地球方向を横切る
マグネター 特に強い磁場を持つ中性子星 磁場に関連した激しい活動を示す
ブラックホール 光も外へ戻れない領域を持つ天体 中性子星のような表面として観測されるわけではない

パルサーは、よく宇宙の灯台にたとえられます。ビームを出す星が回転し、そのビームが地球の方向を向いたときに信号を受け取るため、点滅して見えるのです。星そのものが、そのたびに消えたり現れたりしているわけではありません。

ビームが地球を向かなければ、同じように回転していてもパルスを観測できないことがあります。また、マグネターとパルサーという呼び方は、完全に排他的な分類ではありません。出典:NASA「Pulsars」、NASA「Neutron Stars Q&A」

中性子星の内部には、まだ解けていない謎がある

名前だけを見ると、星の中は中性子だけで埋まっているように感じます。しかし、実際には表面から中心まで同じ構造ではなく、外側には原子核などからなる層もあると考えられています。

特に中心部のような超高密度の環境で、物質がどのような状態になるかは研究が続いています。KEKは、加速器でつくるハイパー原子核の実験を通じ、中性子星内部の物質を調べる研究を紹介しています。天体観測と地上の実験が、一つの星の謎を別々の方向から追っているのです。出典:NASA「Internal structure of a neutron star」、KEKの解説

よくある疑問

中性子星は肉眼で見える?

夜空の明るい星を見つけるのと同じ感覚では見られません。中性子星は小さく遠いため、電波やX線などを観測する望遠鏡が、その性質を探る重要な手段になります。

中性子星はブラックホールになる?

周囲から物質を取り込むなどして質量が増え、自分を支えきれなくなるとブラックホールになる場合があります。ただし、すべての中性子星がいずれブラックホールになる、と決まっているわけではありません。出典:NASA「Neutron Stars Q&A」

合体などに関わる宇宙の観測については、重力波の記事でも紹介しています。

まとめ:角砂糖のたとえが伝える、宇宙の極端な密度

中性子星とは、太陽級の質量が直径数十kmに集まった天体です。「角砂糖1個で数億トン」という表現は、同じ体積に大量の物質が詰まっていることを伝えています。

規則的な信号を送るパルサーとして観測される一方、その内部には未解明の問題も残されています。小さな星の中に、宇宙の物質を理解する大きな手がかりがあるのですね。

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