雪まくりはどうやってできる?雪のロールケーキが生まれる条件と見分け方

雪原に残る円筒状の雪まくりと転がってきた跡

誰も触っていない雪原に、白いロールケーキのような塊がころころ。雪の表面には、そこまで転がってきたらしい細い道も残っています。誰かの雪遊びの跡に見えますが、自然にできることがあるのです。

この不思議な現象が「雪まくり」。英語ではスノーローラー(snow roller)と呼ばれます。雪が丸まるでき方と発生条件、観察するときの手がかりを解説します。

雪まくりの仕組みを先に紹介
適度にくっつく雪が、風や斜面を転がる力でめくれ、周囲の雪を巻き取りながら育ちます。「巻ける雪」「下の面からはがれやすい状態」「転がす力」が重なることがポイントです。

雪まくりとは?自然がつくる雪のロールケーキ

雪まくりは、雪の塊が地面の雪を巻き込みながら転がり、筒や俵のような形になったものです。断面に巻いた層が見える姿は、海苔巻きやバームクーヘンにも似ています。中心にすき間のあるものは、ドーナツのようにも見えます。

人が手で押し固めてつくる雪玉と違い、雪の層を巻き取って大きくなるところが特徴です。形は一様ではなく、きれいな輪に見えるものも、中心まで詰まって見えるものもあります。米アイダホ州教育局の教材でも、風や斜面で転がりながら雪を取り込む、円筒状の自然現象として紹介されています。

雪まくりのでき方を3つの段階で見る

1.表面の雪がめくれる、または小さな塊が動き出す

風でできる場合は、積雪の表面の一部がめくれ、巻き始めのきっかけになります。下の雪が硬く、上の雪がはがれやすい状態だと、表面の雪を引きはがしながら動けます。

斜面では、上から落ちた雪などが転がり始める場合もあります。つまり、すべての雪まくりが「平らな場所で強風によってできる」とは限りません。風と重力は、どちらも転がす役割を果たせるのです。

2.転がりながら、薄い雪の層を巻き取る

動き出した塊が周囲の雪を取り込み、外側に層を重ねていきます。タオルの端を持ってくるくる巻くと、巻いた部分が太くなるのに似ています。

ただしタオルと違って、雪は途中でちぎれたり崩れたりします。巻き取られるだけのまとまりがあることが大切です。富山市科学博物館の「雪まくり」の解説でも、硬い雪の上の新雪を巻き込み、海苔巻き状に育つ仕組みと、雪の粘着性の重要さが述べられています。

3.止まった場所に、巻いた形と移動の跡が残る

転がる力と雪の状態に応じて成長し、動かなくなったところに塊が残ります。表面の雪を取り込んだ道筋が、後ろへ帯のように続いて見えることもあります。

形だけでなく、この「どこを通ってきたか」に注目すると、静止した雪の塊から動いていた時間を想像できます。雪まくりの面白さは、完成した姿と、できる途中の痕跡を一緒に観察できることです。

雪まくりができる条件は?雪・地面・風の組み合わせ

雪がたくさん積もれば必ずできるわけではありません。特に風で巻かれるタイプでは、次の条件の組み合わせが重要になります。

条件 必要になる理由
適度にまとまる表面の雪 雪どうしがくっつき、巻いた形を保つため
下の面からはがれやすい状態 表面の層が動いて巻き取られるため
転がせる強さの風 弱すぎると動かず、強すぎると形が壊れやすいため
斜面がある場合は重力も働く 風以外にも、雪を転がすきっかけになるため

米国気象局の「Snow Roller」解説は、雪自身にはくっつく一方、下の面には付着しにくいこと、そして巻ける程度の風が必要だと説明しています。「くっつく」と「はがれる」が同時に必要なのが、この現象の興味深いところです。

さらさらでまとまらない雪では、巻いても崩れやすくなります。一方、下の層に強く貼り付いていても動き出せません。単に「寒いほどよい」「風が強いほどよい」とは言えないのです。

日本ではどこで見られる?季節だけで決められない

日本でも観察されていて、富山市科学博物館には1980年1月の記録があります。また、北海道の層雲峡ビジターセンターは、2007年2月に紅葉谷で見られた、湿った雪が斜面を転がってできる雪まくりを紹介しています。

このように、本州でも北海道でも発生します。雪質が変わるため、同じ地域でもいつでも見られる現象ではありません。冬の雪景色のなかで、積雪の表面が少しまとまりやすくなったときなどに、観察の機会が生まれます。

カレンダーや外気温だけで発生を言い当てるのは難しく、風、日差し、雪の層の状態も関わります。「何月なら必ず見られる」「この気温なら必ずできる」といった一つの数字には置き換えられません。

見つけたら、巻き模様と通り道を観察しよう

まずは少し離れた場所から、雪の塊の側面を見てみましょう。円筒状の形、重なった層、中心のすき間などが手がかりになります。足元に目を移し、塊まで続く細長い跡があるかも確かめてみてください。

穴があるかどうかだけでは判断できません。写真に残すなら、巻いた断面だけを大きく撮る一枚と、通り道や周囲の雪面を含めた一枚があると、形とでき方を結び付けやすくなります。

斜面では近づく前に周囲を確認
層雲峡ビジターセンターは、紹介した雪まくりが表層雪崩の起こりやすい雪質でできるとして注意を促しています。雪まくりだけで雪崩を予測することはできませんが、撮影のために斜面へ入り込まず、安全な場所から観察しましょう。
参考:層雲峡ビジターセンター「バームクーヘンできました」

雪や氷の不思議は、形のできる過程を見ると面白い

雪まくりは、すでに積もっている雪が移動し、巻かれて形を変える現象です。土から氷の柱が育つ霜柱のでき方や、湖の気泡が氷に閉じ込められるアイスバブルと比べると、同じ冬の白い景色にも違う仕組みが隠れていると分かります。

雪原で小さなロールを見つけたら、「誰がつくったの?」に加えて、「どの雪が、どちらへ動いたのだろう」と考えてみてください。雪の性質と動かす力が重なった跡として見ると、見慣れた雪景色にも新しい発見があります。

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