パムッカレはなぜ白い?温泉が石灰棚をつくる仕組みと世界遺産の不思議

白い石灰棚に淡い青色の水がたまるパムッカレの風景

青空の下に広がる真っ白な丘。そこに浅い水たまりが幾重にも重なるトルコのパムッカレは、まるで綿でつくった階段のような景色で知られています。

この白い大地をつくったのは、地下から湧く温泉です。水が岩を削るだけでなく、水に溶けていた成分が岩となり、地形を育てているのです。パムッカレがなぜ白いのか、石灰棚のでき方を順番に見ていきましょう。

先に答え
パムッカレの白さの主役は、炭酸カルシウムが堆積した石灰華(トラバーチン)です。温泉水から二酸化炭素が抜けると、溶けていた成分が固体として現れ、白い棚状の地形をつくります。

パムッカレとは?「綿の城」と呼ばれる白い丘

パムッカレは、トルコ南西部のデニズリ県にある、白い石灰華段丘で知られる場所です。名前にはトルコ語で「綿の城」という意味があります。

白い丘の上には、古代の温泉都市ヒエラポリスの遺跡が残っています。自然の造形と人間の歴史をあわせ持つ「ヒエラポリス‐パムッカレ」は、1988年にユネスコの世界遺産に登録されました。
出典:ユネスコ世界遺産センター「Hierapolis-Pamukkale」

パムッカレはなぜ白い?正体は炭酸カルシウム

白く見える地面の主な材料は炭酸カルシウムです。化学式ではCaCO3と表します。炭酸カルシウムを主成分とする鉱物の一つが方解石で、それが温泉などの周辺に堆積してできる岩石を、石灰華・トラバーチンと呼びます。

ユネスコは、パムッカレの地形に新しく堆積する炭酸カルシウムが、まぶしい白い表面を与えると説明しています。白い部分そのものが、水によって運ばれ、地表で積み重なった鉱物なのです。

ここで大切なのは、温泉水が白い岩へと凍ったわけではない、という点です。水は液体のまま流れ続けながら、溶けている成分の一部を固体として残します。この現象を沈殿といいます。

石灰棚のでき方を3段階で解説

1.成分を含む温泉水が地表に出る

地下を通ってきた水は、岩石との反応などを通して成分を含み、地表へ湧き出します。パムッカレでは、断層や割れ目に沿った温泉からの水が斜面を流れ、段丘の形成につながっています。

トルコの公式観光サイトGoTürkiyeは、現在の活動的な石灰棚の形成を支える湧水の温度を35~36℃と紹介しています。これは湧き出す水についての値であり、すべての池や歩行場所が同じ温度という意味ではありません。
出典:GoTürkiye「Pamukkale Travertines: Formation, Characteristics & Activities」

2.二酸化炭素が抜け、炭酸カルシウムが沈殿する

地表へ出た水から二酸化炭素が空気中へ抜けると、水中の化学的なバランスが変わります。その結果、カルシウムを含む成分が炭酸カルシウムの結晶として現れ、岩の表面に付着していきます。

同じ石灰華の段丘がある米国のマンモス・ホットスプリングスでも、米国国立公園局は「地表で二酸化炭素が放出され、炭酸カルシウムが堆積する」という仕組みを説明しています。温泉地ごとに温度や地下の条件は違っても、水から鉱物が現れる流れに共通点があります。
出典:米国国立公園局「Mammoth Hot Springs – Lower Terraces」

3.流れが続き、白い堆積物が厚くなる

鉱物を含む水が繰り返し流れることで、白い堆積物が増えていきます。目の前の石灰棚は、温泉水が流れた場所に、その成分の一部が残り続けた結果といえます。

「温泉が冷えるから白くなる」とだけ覚えるよりも、水から二酸化炭素が抜け、炭酸カルシウムが沈殿するという順番で捉えると、でき方を理解しやすくなります。

なぜ階段状になる?水の流れと縁の成長

パムッカレの石灰棚は、一枚の平らな板ではありません。浅い池を囲む縁があり、その下にも別の池が続く、段々畑のような形をしています。

この形には、斜面と水の流れ、鉱物が堆積する場所の違いが関係します。水がたまり、縁を越えて下へ流れ、その流路で鉱物が付着する、という働きが重なっているのです。GoTürkiyeも、段状の池は地形の傾斜と温泉水の流れによって形づくられると説明しています。

米国地質調査所はマンモスのエンジェル・テラスについて、池の縁から水がこぼれるときに二酸化炭素が抜け、石灰華が沈殿する様子を紹介しています。こうした縁での堆積も、温泉が棚状の地形を育てる過程を知る手がかりです。
出典:米国地質調査所「Angel Terrace」

パムッカレ・鍾乳洞・氷筍を比べると?

水がつくる不思議な地形でも、残る材料や固まる仕組みはさまざまです。

地形・現象 主な材料 育ち方のポイント
パムッカレの石灰棚 炭酸カルシウム 温泉水から鉱物が沈殿し、斜面に堆積する
鍾乳洞の石筍 主に炭酸カルシウム 滴る水が運んだ鉱物が床に積み重なる
洞窟の氷筍 氷 落ちた水滴そのものが凍り重なる

石灰棚と石筍には、水が運ぶ鉱物が堆積するという共通点があります。一方、氷筍では水そのものが氷になります。それぞれの仕組みは、鍾乳洞のでき方と、氷筍が下から伸びる理由でも詳しく紹介しています。

パムッカレについてよくある疑問

石灰棚は今もつくられている?

はい。GoTürkiyeは、温泉水によって現在も石灰棚の形成が続くと説明しています。ただし、すべての棚が同じ速さで育つわけではありません。水が流れる場所と供給の継続が重要になります。

世界遺産なのは白い棚だけ?

古代都市ヒエラポリスの遺跡も登録範囲に含まれます。温泉が生んだ自然景観と、その温泉を利用して栄えた都市が隣り合うことが、この場所の大きな特徴です。

石灰棚はどこでも自由に歩ける?

景観を保全するため、見学できる範囲や動線には管理があります。ユネスコも、水の流れや段丘の色・構造を守るための立ち入り制限を紹介しています。訪問時は指定ルートと現地の最新案内に従いましょう。

まとめ|白い大地は、温泉が残した鉱物の積み重ね

パムッカレの白さは、温泉水から沈殿した炭酸カルシウムによるものです。地下から運ばれた成分が地表で固体になり、水の流れとともに石灰棚を育ててきました。

写真を見るときは、白い丘全体だけでなく、小さな池を囲む縁や、水が下へ流れる段差にも注目してみてください。そこには、液体の水が少しずつ岩の景色をつくる過程が表れています。

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