夕方に東の空にあった星座が、夜が更けると南へ、明け方には西へ移っている。北の空を長時間撮影すると、星が円弧を描いて写る。こうした一晩の星の動きが「日周運動」です。
日周運動とは、地球の自転によって、天体がほぼ1日で空を一回りするように見える現象です。星々が一晩で地球の周りを回っているのではなく、観察している私たちの側が回転しています。
この記事では、日周運動の仕組みと向き、「1時間に約15度」の意味、年周運動との違いを、夜空の見え方から解説します。
日周運動が起こる理由|地球が西から東へ自転する
地球は、北極と南極を結ぶ地軸の周りを、西から東へ自転しています。その上にいる私たちから見ると、空の天体は反対向きの東から西へ動くように見えます。
国立天文台の用語集は、この見かけの天球の回転を日周運動と説明しています。望遠鏡で天体を長く観測するときには、この動きに合わせて望遠鏡の向きを変える必要があります。
日周運動は恒星だけでなく、太陽や月にも見られます。ただし、月には地球の周りを回る運動なども重なるため、星とまったく同じ速さで位置が変わるわけではありません。
北の空と南の空で、星の動きはどう違う?
ここでは、日本のような北半球の中緯度で見る星空を考えます。向いている方角によって軌跡の形は違いますが、同じ地球の自転を、違う方向から見ていることがポイントです。
| 見る方角 | 星の動き方の目安 |
|---|---|
| 東の空 | 斜めに昇っていく |
| 南の空 | 東側から南を通って西側へ進む |
| 西の空 | 斜めに沈んでいく |
| 北の空 | 天の北極の周りを反時計回りに動く |
北の空では、地軸を北へ延ばした方向である「天の北極」が回転の中心です。北極星はその近くにあるため、ほかの星と比べてほぼ同じ場所に見えます。厳密には、北極星自体も中心から少し離れています。
宮城教育大学の星空観察教材では、北極星付近の反時計回りの動きと、星座が形を保ちながら移動する様子を映像で紹介しています。
星の軌跡は観察する緯度でも変わります。日本での説明を、そのまま赤道や南半球の空に当てはめることはできません。また、北の空の一部の星は、地平線の下へ沈まずに回り続けます。
「1時間に15度」は何の角度?
日周運動は、基本の計算では約24時間で360度の回転と考えます。そのため、360度÷24時間=1時間に約15度です。2時間なら約30度、3時間なら約45度、回転の位置が進みます。
ただし、これは天の北極など、天球の回転軸の周りに進む角度です。「すべての星が、空の上で同じ長さの線を描く」という意味ではありません。
北極星近くの小さな円と、回転の中心から遠い大きな円を思い浮かべてください。同じ角度だけ回っても、描く円弧の長さは異なります。空を見上げたときの移動距離と、回転の角度を分けて考えると混乱しにくくなります。
星と回転の中心を結んだ線を考え、その線が何度回るかを見ます。2時間後なら、反時計回りに約30度進んだ位置が目安です。
日周運動と年周運動の違いを比較
同じ星でも、「同じ日の何時間後に見るか」と「別の日の同じ時刻に見るか」で、比べている動きが変わります。
| 比べる点 | 日周運動 | 星の年周運動 |
|---|---|---|
| 主な原因 | 地球の自転 | 地球の公転 |
| 比べる場面 | 一晩で時刻を変えて見る | 日付を変え、同じ時刻に見る |
| 角度の目安 | 1時間に約15度 | 同時刻なら1日に約1度、1か月に約30度 |
| 身近な例 | 星座が夜の間に東から西へ移る | 季節が進むと同時刻の星座の位置が変わる |
地球が太陽の周りを進むと、夜側から見通す宇宙の方向も少しずつ変わります。これが、季節によって見える星座が変わる理由です。なよろ市立天文台の学習資料(PDF)は、自転と公転を分け、同じ時刻の星が1か月で約30度ずれる様子を説明しています。
なお、年周運動という言葉は、太陽が星座の間を移る見かけの動きにも使われます。ここでは、毎日同じ時刻に見た恒星の位置の変化に注目しています。
同じ星が毎日約4分早く同じ位置に来るのはなぜ?
恒星を目印に地球の回転を測ると、一回りの時間は約23時間56分です。私たちが使う24時間より約4分短いため、同じ星は翌日には約4分早く、同じ位置へ戻ってきます。
この約4分の差には、地球の公転が関わります。地球が軌道上を進むので、恒星に対して一回りした後、太陽に対しても同じ向きになるには、もう少し回る必要があるのです。
日本天文学会の教材研究記事(PDF)でも、恒星に対する一回転の時間と、太陽・月の見かけの速さの違いが扱われています。「1時間15度」は便利な近似であり、恒星の一回りが厳密に24時間という意味ではありません。
日周運動を観察するなら、場所と向きをそろえる
同じ場所から、山の稜線や建物などを目印に、同じ星座を1〜2時間おきに記録すると、移動が分かりやすくなります。星の位置だけでなく、日時と見る方角も一緒に残しましょう。
星座の並びは、一晩ではほぼ変わらず、位置や傾きが変わって見えます。お茶の水女子大学の観察教材でも、時刻ごとの星座を同じ画角で比べる方法が紹介されています。
星の軌跡は、地球が回っていることを実感できる身近な手がかりです。回転自体が気になる方は地球が自転し続ける理由もご覧ください。また、地球の公転による別の現象である年周視差では、遠くの星の位置のごく小さなずれから距離を調べます。

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