しま模様が重なった崖は、地球の歴史を記録した本にたとえられます。ところが、その本には、何百万年、何億年ものページが抜けている場所があります。
不整合(ふせいごう)とは、上下に重なる地層や岩石の間に、堆積の中断や侵食による時間の隔たりがある関係です。境界を一つまたいだだけで、はるか昔から新しい時代へ飛ぶことがあります。
この記事では、不整合のでき方と整合との違い、見分ける手がかり、日本と世界の代表例を紹介します。
不整合と整合の違いは「時間のつながり」
砂や泥などが積もり続け、地層が時間的につながって重なっている関係を「整合」といいます。一方、間の地層が削られたり、堆積が長く止まったりした後に新しい地層が重なると、不整合の関係になります。
| 比べる点 | 整合 | 不整合 |
|---|---|---|
| 時間の記録 | 地層の形成がつながる | 間の時代の記録が欠ける |
| 主な背景 | 堆積が引き続き進む | 堆積の中断や侵食の後、再び堆積する |
| 見た目 | 層が重なる | 下の層が切られる場合も、上下が平行な場合もある |
倉敷市の自然史博物館の解説では、整合と不整合を、地層が引き続きできる場合と、侵食などを挟む場合で説明しています。岩の色が変わるだけで、不整合だと決まるわけではありません。
不整合のでき方|積もる・削られる・また積もる
分かりやすい例は、海底にたまった地層が陸上に現れ、削られた後、再び海に覆われるケースです。次のような過程を考えると、時間の空白が生まれる理由が見えてきます。
- 海や湖の底などに砂や泥がたまり、古い地層ができる。
- 土地の隆起や海面の低下などで環境が変わり、堆積が止まる。
- 風化や侵食によって、地層の一部が失われる。
- 土地の沈降や海面の上昇などで再び堆積が進み、新しい地層が重なる。
大阪市立自然史博物館の解説も、古い岩石が風化・侵食を受けた面の上に、新しい地層がたまる仕組みを紹介しています。この古い岩石と新しい地層の境界が「不整合面」です。
ただし、いつも陸上に出るとは限りません。水底でも堆積が長く止まったり、物質が取り去られたりします。大切なのは、上下の地層の間に記録の中断があることです。
抜けているのは、その場所に残された地質の記録です。上下の岩石がぴったり接していても、不整合は成立します。
傾斜不整合と平行不整合|斜めでなくても見つかる?
傾斜不整合は、地層の向きが変わる
古い地層が地殻変動で傾いたり曲がったりした後に削られ、その上に新しい地層が重なると、上下で層の向きが異なります。こうした関係を傾斜不整合、または斜交不整合と呼びます。
下のしま模様が境界で切られ、上には別の向きの層が続くため、写真でも気づきやすいタイプです。地層がたまるだけでなく、変形し、削られる過程まで読み取る手がかりになります。
平行不整合は、見た目だけでは難しい
上下の地層の向きがほぼ平行でも、時間の隔たりがある場合があります。このような平行不整合は、傾斜の違いだけでは判断できません。
侵食された面や、含まれる化石の年代など、別の証拠を合わせて調べます。ユタ州地質調査所の解説は、堆積が止まることによる記録の中断と、さまざまな不整合の分類を紹介しています。火成岩や変成岩の上に、新しい堆積岩がのる場合もあります。
日本の例|前原の不整合に残る1億年以上の隔たり
埼玉県皆野町の「前原の不整合」は、日本で見られる代表的な例です。古い秩父帯の岩石の上に、かつてこの地域に広がった古秩父湾の地層が重なっています。
ジオパーク秩父の公式解説によると、下の岩石は約2億〜1億5000万年前、上の地層は約1700万年前のものです。接している岩石同士でも、できた時代には1億年以上の隔たりがあります。
上の地層の底には、大きな礫を含む「基底礫岩」も見られます。再び堆積が始まったときの環境を考える材料になりますが、礫岩があれば必ず不整合というわけではありません。
世界の例|グランドキャニオンの「失われた時間」
アメリカのグランドキャニオンにも、大きな時間の空白を示す不整合があります。米国国立公園局の解説は、ある境界では約12億年分の記録が残っていないと説明しています。
これは、その間ずっと地球で何も起きなかったという意味ではありません。その場所で堆積しなかった期間や、岩石が削り取られた過程などが重なり、現在見える地層に記録が残らなかったということです。
不整合が示す時間は、場所や上下の岩石によって異なります。世界中の不整合が、同じ時代の一つの出来事でできたとは限りません。
地層を見るときの3つの手がかり
まず、下の地層のしま模様が途中で切られているか。次に、境界に凹凸や礫の集まりがあるか。最後に、上下の地層の年代に隔たりがあるかに注目します。
ただし、見た目の手がかり一つで断定はできません。崖の割れ目や断層も地層を区切るため、露頭の解説や地質図、化石などの情報を組み合わせることが大切です。また、地層の厚さがそのまま一定の年数を表すわけでもありません。
不整合を知ると、地層は「積もったもの」だけでなく、「失われたもの」まで語る記録だと分かります。岩が変わり削られる風化と侵食の違いや、氷が山を削った跡である氷河地形のでき方も、地形から過去を読む視点につながります。

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