赤い大地に大きな丸い岩が散らばり、そのいくつかは別の岩の上に重なっている。オーストラリアのデビルズマーブルは、誰かが巨石を積んだようにも見える風景です。どうしてこんな形になったのでしょうか。
デビルズマーブルは、地下で固まった花崗岩が割れ目に沿って風化し、周囲の崩れやすい部分が取り去られて現れた丸い巨石です。最初から球として地面に置かれたわけではありません。
- 岩の正体は、大理石ではなく花崗岩です。
- 割れ目を持つ岩体から、硬い丸い部分が残りました。
- 人工的な石積みではなく、長い地形変化の途中の姿です。
デビルズマーブルとは?オーストラリア内陸の丸い巨石
デビルズマーブルは、オーストラリア北部準州にある巨石群です。カルルカルル(Karlu Karlu)という名前でも知られ、テナントクリークの南約100kmに位置します。
北部準州政府の公式案内によると、カルルカルルは「丸い巨石」を意味します。丸い岩が広い浅い谷に集まる景観は、この土地の自然と文化の両方を表すものとして大切にされています。出典:北部準州政府・カルルカルル/デビルズマーブル保護区
「マーブル」という呼び名から大理石を連想するかもしれませんが、ここではビー玉のような外見に関わる名前です。地質的な岩石の種類を、そのまま表しているわけではありません。
なぜ丸い?出発点は、地下で固まった花崗岩
1.溶けた岩石が地下で固まる
オーストラリアの地球科学機関Geoscience Australiaは、ここの花崗岩が砂岩の層の下で、溶けた岩石から固まったものと説明しています。その岩体には、縦方向と横方向の割れ目が発達しました。
今見える丸い岩だけを思い浮かべると、どこか遠くから転がってきたようにも感じます。しかし、元の大きな岩体が割れ、風化していく過程を考えると、別の見方ができます。
2.割れ目のある岩が風化する
地上の砂岩が侵食されるにつれ、下の花崗岩も姿を現し、風化が進みました。花崗岩の一部は砂や粘土のように崩れ、比較的硬い部分が残ります。こうして残る塊は、コアストーンと呼ばれます。
3.周囲が取り去られ、丸い岩が露出する
崩れた砂や粘土が取り去られると、その中にあった丸い硬い部分が露出します。丸い岩が高い位置に残ることで、下の岩に載っているような姿も現れます。出典:Geoscience Australia「Significant Rock Features」
大切なのは、丸くなった岩を誰かが積み上げたのではなく、もとの岩体と周りの物質が変化して、今の配置が見えるようになったという点です。
なぜ重なって見える?写真の角度にも注目
保護区の公式資料は、巨石群が、地下に今も大部分が残る大きな花崗岩体の名残だと説明しています。目の前の石だけが独立した物体として空から落ちてきた、と考える必要はありません。出典:北部準州政府・保護区ファクトシート(PDF)
また、写真では、手前と奥の岩が重なったり、岩同士の接触面が隠れたりします。一方向から小さな一点だけで支えているように見えても、実際の奥行きまでは分かりません。
重力に逆らう特殊な力が働いていると考えるより、「どこが支えになっているか」「奥にも岩が続いているか」を見てみると、自然の造形の面白さが増します。ただし、写真の印象だけで個々の岩の安定性を判断することはできません。
丸い岩は全部同じ?名前とでき方を整理
| 見方・言葉 | デビルズマーブルでの意味 |
|---|---|
| 岩石の種類 | 花崗岩。名前にマーブルとあっても大理石ではない |
| 丸い形 | 風化で周囲が崩れ、硬い塊が残った姿 |
| 岩の重なり | 元の岩体と周囲の侵食の歴史を考える手がかり |
| カルルカルル | 現地の先住民の言葉に由来する「丸い巨石」の名前 |
「丸い」という形が同じでも、どの岩も同じ材料・同じ場所・同じ過程でできるわけではありません。岩の名前、材料、成り立ちを別々に見ることが、奇岩を理解する近道です。
カルルカルルという名前と、文化的な意味
北部準州の地名登録には、2009年11月にデビルズマーブルとカルルカルルの併記名になったことが記録されています。西洋の呼び名と、この地域の先住民に由来する名前が、一つの場所を指しています。出典:北部準州政府・地名登録「Karlu Karlu / Devils Marbles」
公式ファクトシートは、この場所が伝統的所有者にとって重要な文化的景観であり、保護区のほぼ全域が登録された聖地であると説明しています。岩に登らないよう求められているのも、単に珍しい自然物というだけではない背景があります。
地質学は岩が丸くなる過程を説明します。一方、土地に結びついた文化や物語は、その場所が人々にとって何を意味するかを伝えます。どちらかをもう一方の証明や否定に置き換えず、分けて受け取ることが大切です。
巨石の上には、保護される暗い夜空も広がる
この場所の魅力は、昼の岩だけではありません。北部準州政府は、2026年8月21日にカルルカルルが国際的なダークスカイ・サンクチュアリに認定されたと発表しています。夜空の質と、夜の環境を保護する取り組みが評価されたものです。出典:北部準州政府・2026年8月25日の発表
地上の長い地質の歴史と、その上に広がる夜空。丸い巨石の風景を、地球だけでなく宇宙へ目を向ける入り口として眺めるのも面白い見方です。
まとめ|不思議な配置は、長い風化と侵食の記録
デビルズマーブルの丸い巨石は、地下で固まった花崗岩に割れ目ができ、風化と侵食を経て露出したものです。現在の形や配置を、元の大きな岩体から続く変化として見ると、人工物のような景色にも自然の道筋が見えてきます。
別の岩石の姿として、水中で溶岩が丸く固まる枕状溶岩のでき方や、火山由来の地層が削られたカッパドキアの奇岩の仕組みも、比べて楽しめます。


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