リシャット構造はなぜ丸い?サハラの目の成因と隕石説の疑問を解説

サハラ砂漠に同心円状の岩の尾根が広がるリシャット構造のイメージ

サハラ砂漠を宇宙から見ると、巨大な目のような輪が浮かびます。リシャット構造、通称「サハラの目」です。あまりに整った姿から、隕石の跡や古代都市を想像したくなるかもしれません。

けれど、見た目が円形であることと、その原因が何かは別問題。地層の隆起と侵食を手がかりに、砂漠の目ができた仕組みを見ていきましょう。

先に押さえたいこと

  • モーリタニアのサハラ砂漠にある、直径数十km規模の地形です。
  • 隕石孔ではなく、隆起した地層が侵食で露出した構造と説明されています。
  • 色の鮮やかな衛星画像は、表示方法も確認して読みましょう。

リシャット構造はどこ?「サハラの目」と呼ばれる理由

リシャット構造は、アフリカ北西部の国モーリタニアにあります。日本語では「リチャット構造」と表記されることもあります。

周囲に砂漠や高台が広がる中、岩の尾根が同心円状に重なっています。この輪の集まりが、上空から見ると目のように見えるため、「サハラの目」と呼ばれます。

JAXAの紹介では直径約40kmとされています。写真の画面内に収まっていても、人が作った円形広場のような大きさではありません。まずは数十kmに及ぶ地質構造として捉えると、尺度を取り違えずに済みます。参考:JAXA「宇宙をにらむサハラの目」(2003年公開)

なぜ丸い?ドーム状の隆起と侵食が鍵

もともとの地層が、丸く持ち上がる

NASAの2026年の解説は、地下の火成物質の貫入によって岩石が隆起し、ドーム状の構造ができたと説明しています。重要なのは、地表に大きな穴が一度に開いた、という出発点ではないことです。

地層が盛り上がった形を、何層も重なった布を中央から押し上げる様子にたとえると、イメージしやすいかもしれません。これは形を考えるためのたとえで、岩が布と同じように変形するという意味ではありません。

削られやすさの違いが、輪を目立たせる

隆起した上部が長い時間をかけて削られると、内部の地層が地表に現れます。岩の種類によって侵食への強さが違うため、削られにくい部分が尾根として残り、丸い模様が際立ちます。

つまり、隆起が作った地層の並びを、侵食が見える形にしたという見方です。NASAは、こうして発達した円形の尾根を「ケスタ」と説明しています。出典:NASA「Eyeing the Richat Structure」(2026年)

隕石のクレーターではないの?

円形の地形は、隕石が衝突した跡を連想させます。実際、リシャット構造も初めは衝突構造と考えられたことがありました。

しかし、NASAの説明では、現在は深く侵食された地質学的なドームとされています。見た目が丸いという共通点だけで、隕石孔と判断することはできません。参考:NASA「Richat Structure, Mauritania」

見た目から浮かぶ疑問 確認したいこと
丸いから隕石孔? 地層の構造や岩石の調査に基づく成因を見る
輪が整っているから人工物? 自然の隆起・侵食で説明される構造と比較する
青い輪は水? 画像の波長や色の割り当てを確認する
上から見える輪は平ら? 尾根と谷の高低差を立体画像でも見る

衛星画像の青い輪は、湖なの?

リシャット構造の画像には、青や緑、茶色が鮮やかに見えるものがあります。けれど、色の違いをそのまま「ここに青い水がある」と読んではいけません。

JAXAの2003年の画像は、使用した観測チャンネルとRGBの組み合わせを示しています。その説明では、輪の中の色の違いと、侵食に強い岩・弱い岩の分布が結びつけられています。

衛星は、目に見える光だけでなく、異なる波長の情報も扱います。画像の色は、地表の違いをわかりやすく示すための表示である場合があります。「どの画像か」を確かめることが先です。

立体画像の高さにも注意:強調されている場合がある

上からの画像ではわかりにくい起伏を、立体画像なら捉えやすくなります。ただし、見やすくするため高さの方向を強調したものもあります。

NASAが公開するリシャット構造の立体画像の一例は、衛星画像と標高モデルを組み合わせ、鉛直方向を6倍に強調したものです。その見た目を、現地でそのまま目にする傾斜や高さと思い込まないようにしましょう。

写真に添えられた「自然色」「合成」「立体」「鉛直強調」といった説明は、地形を正しく読むための大切な情報です。

アトランティス説は、形が似ているだけで証明できる?

リシャット構造を、伝説の都市アトランティスと結びつける話を目にすることがあります。しかし、同心円のように見えることだけでは、そこが人工都市だったという証拠にはなりません。

地形の形についての説明と、人間が建設した都市であるという主張は、必要な証拠が異なります。ここで参照したNASAやJAXAの解説は、隆起や侵食による地質構造として説明しています。想像を楽しむことと、確認された説明を混同しないことが大切です。

まとめ:砂漠の目は、地層の歴史を見せている

リシャット構造は、隆起した地層が侵食され、硬さの違う岩が同心円状の尾根として現れた巨大な地形です。隕石孔のような姿でも、原因まで同じとは限りません。

上空からの形、地層の並び、画像の色や高さの表示を分けて見ると、不思議な輪は地球の歴史を読む手がかりになります。水と氷が作る景色では、氷の中に泡が重なるアイスバブルも紹介しています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 ※ が付いている欄は必須項目です