砂漠の風景に、頂上をすぱっと切りそろえたような山が立っている。アメリカ西部の写真などで見かける、テーブルのような地形です。
こうした地形を調べると、メサとビュートという名前が出てきます。よく似ていますが、何が違うのでしょうか。頂上の広さと、周りの岩が削られていく過程をたどると、違いが見えてきます。日本にも、その例があります。
メサとビュートの違いは、頂上に残る広がり
メサは、平らな頂上が比較的広く残り、周りを急な斜面や崖に囲まれた、周囲から独立して見える高まりです。ビュートは、それより小さく、頂上の広がりが狭い地形として説明されます。
ユタ州地質調査所は、メサを高さより幅が広い平頂の地形、ビュートを高さと幅が同程度の孤立した地形として紹介しています。まずは「広いテーブル状がメサ、より小さく孤立した高まりがビュート」と覚えると、見分ける入り口になります。出典:Utah Geological Survey「Utah Landforms」
| 比べる点 | メサ | ビュート |
|---|---|---|
| 頂上の広がり | 比較的広く、テーブル状 | 比較的小さく、狭い |
| 全体の印象 | 幅のある台地状の高まり | ぽつんと残る小さな高まり |
| 典型的な共通点 | 硬い上部の岩が残り、その下や周囲が侵食されている | |
| 日本で紹介される例 | 屋島・五色台など | 飯野山など |
ただし、自然の地形は連続的に変わります。幅や面積に全国共通の厳密な境界線がある、と考えるよりも、形と成り立ちを合わせて理解しましょう。
メサやビュートはどうやってできる?
1.削られやすさの違う岩が重なる
出発点は、岩の種類や硬さが場所によって違うことです。地層が水平に近い状態で重なり、上部に侵食へ抵抗しやすい岩があると、その部分が周囲より残りやすくなります。
侵食とは、水などによって岩や土が削られ、運び去られる働きです。すべての岩が同じ速さで削られるわけではないため、地面に凹凸や崖が生まれます。
2.硬い岩が「ふた」のように残る
上部にある、侵食に強い岩はキャップロックと呼ばれます。帽子のキャップのように下の層を覆い、削られにくい部分をつくります。その周囲や下部の削られやすい岩が失われると、上が平らで側面の急な高まりが残ります。
米国国立公園局(NPS)は、台地が侵食によって小さな単位に分かれてメサとなり、硬く丈夫な上部の岩が残ると説明しています。「山の頂上を平らに削った」というより、周りが削られた結果、平らな上部を持つ部分が残ったと考えるのがポイントです。出典:NPS「Plateaus and Mesas」
3.侵食が進むと、頂上の面積が小さくなる
崖の縁が崩れたり、谷が広がったりすると、広かった高まりは少しずつ小さくなります。大きなメサから分かれ、より小さく孤立したものがビュートになる、という過程が典型例です。
さらに侵食が進むと、細い岩の柱のような形だけが残ることもあります。目の前の山は完成品として固定されたものではなく、変化の途中にある地形なのです。
広い台地 → 谷が広がって分かれたメサ → さらに小さく残ったビュート。これは侵食地形の典型的な流れを示したものです。
すべてのビュートが、同じでき方とは限らない
地形の名前は見た目にも関係するため、「ビュート」と呼ばれる山が、どれもまったく同じ歴史を持つとは限りません。
NPSは、ネブラスカ州のドーム・ロックを、もとの大きな地形から侵食によって分かれたビュートの例として紹介しています。一方で、サウスダコタ州のベア・ビュートには、地下から入り込んだ火成岩に由来する別の成り立ちがあることも説明しています。名称だけで原因を決めつけないことが大切です。出典:NPS「Geologic Landforms」
日本の例は?屋島や飯野山にも注目
屋島は、広い頂上が残るメサ地形
メサやビュートは、海外の乾燥地だけのものではありません。環境省のインターネット自然研究所は、香川県の屋島・五色台・城山などをメサ地形の例に挙げています。
同資料によると、現在の瀬戸内海の地域では、過去の火山活動で火山灰などの上に溶岩が流れ、その後の侵食で、侵食に強い溶岩が山の上に残りました。上部の溶岩が広く残ることで、テーブル状の地形が見られるのです。
飯野山は、ビュート地形として紹介される
同じ資料では、讃岐富士と呼ばれる飯野山を、ビュート地形の例として紹介しています。こちらは頂上の溶岩が小さく残り、おにぎりのような形になった山として説明されています。
海外の写真で見る平らな岩山だけを思い浮かべると、日本の例は少し意外かもしれません。「上部の硬い岩がどれくらい残っているか」という成り立ちにも目を向けると、見た目の違いを理解しやすくなります。出典:環境省インターネット自然研究所「メサ地形とビュート地形」
写真や地図では、どこを見ると面白い?
まずは、頂上がどのくらい広いか、側面に崖があるかを見てみましょう。次に、離れて立つ高まり同士で、似た高さや岩の層が続いていないかを探します。かつてひと続きだった地形を考える手がかりになります。
ただし、遠近感や見る角度によって、幅と高さの印象は変わります。写真1枚で無理に分類するより、地形図や現地の地質解説と合わせるほうが確かです。岩の色や縞模様にも注目すると、景色の楽しみ方が広がります。
侵食がつくる不思議な形には、ほかにも種類があります。風が削るヤルダンのでき方や、氷河が刻んだ谷に海が入るフィヨルドの仕組みと比べると、削る働きと材料の違いが見えてきます。
まとめ
メサとビュートの典型的な違いは、頂上に残る広がりです。メサは広いテーブル状、ビュートはより小さく孤立した地形として理解できます。
大切なのは、硬い岩が残り、周りが削られるという過程を見ること。海外の岩山も日本の身近な山も、その形には長い時間をかけた大地の変化が刻まれています。


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